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三菱商CFO:格付け悪化に危機感、事業部門ごと資金管理を徹底

更新日時
  • 7つの事業グループが各自で投資資金を確保、負債残高は増やさず
  • 二度と赤字に陥らない体質構築に向けて資産入れ替え進める

三菱商事の増一行最高財務責任者(CFO)はブルームバーグとのインタビューで、大規模な減損損失の計上によって悪化した格付けの改善を図るため、キャッシュフロー(現金収支)の管理を7つの事業グループごとに分けて徹底させる考えを示した。足元では低金利で資金調達しやすい環境にあるものの、将来金融不安などの突発的な事態が起きた場合でも悪影響が出ないよう有利子負債の残高を増やさない方針だ。

  増CFOは「金融収縮が起きた際に格付けが悪いと非常に危ない状態になる」と指摘。資金調達に支障が出る恐れや抱える有利子負債残高も約6兆円と絶対額としては大きく、借り換えのための資金調達コストが膨らむ懸念もある。米格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスは6月、三菱商の格付けを「A2」へと1段階引き下げた。もう2段階下がれば「A」格から落ちることになり、「これは絶対に避けないといけない」と語った。

  エネルギーや金属、機械、生活産業といった7つの事業グループにおいて投資は各グループが稼いだ資金の範囲内に抑える。資金が足りない場合には各グループ内での資産売却によって手当てする仕組みを今期(2017年3月期)から取り入れた。これまでは会社全体でキャッシュフローを管理していたが、各事業グループの段階にまで落とし込むことでより徹底を図る。

  今期から3年間での新規投資のめどは2兆円程度。運転資金を除いたフリーキャッシュフローは計1兆円を見込み、そのうち3000億円を配当原資に、7000億円を投資資金に充てる。残る1兆3000億円程度の投資資金は資産売却による資金回収でまかなう。大型案件などで全体の投資額が上振れる場合には資産売却を上積みすることで対応し、投資による実際の資金支出額を7000億円とすることを重視する。

前期に初の赤字

  三菱商は前期(16年3月期)に資源を中心とした減損処理など計4260億円の損失を計上。同期は1494億円の純損失と初の最終赤字に陥った。4月に就任した垣内威彦社長は「資源と非資源のバランスの見直し」と「キャッシュフロー重視の経営」を喫緊の経営課題に掲げた。

  増CFOは「赤字決算は二度と繰り返さない」と述べ、資源価格が大きく下落しても赤字に陥ることのない資産構成への入れ替えを進めると説明。金属とエネルギーの資源分野の投資残高3兆円は増やさずに、非資源分野の4兆4000億円を積み増す。三菱商が主体的に経営に関与することで事業の成長につなげることができるかどうかが投資の判断基準になるという。
  
  4-6月期に5四半期ぶりに黒字転換を果たした豪州の石炭事業については、一部鉱山の閉山に伴う減価償却費の減少や生産量が四半期ベースで最大だったことに加え、過去から取り組んできたコスト削減効果が出たと説明。鉱山現場での人員や賃金削減などによって「過去1年でも生産コストは1割、もっと前から比べると3割程度は下がった」。

今期は黒字化

  現在の1トン当たり120ドルまで上昇した原料炭のスポット価格は「ちょっと上がり過ぎ」としながらも、今後価格が100ドル程度にとどまり、米ドルに対するオーストラリア・ドルの状況も現状水準であれば今期は年間での黒字化も見込めるとした。4-6月期で進ちょく率が4割に達した純利益の通期見通しについては「期初計画は達成できるだろうと思っているが、まだ3カ月でもありよほどの自信がないと見直しはできない」として据え置いたと述べた。

  資本政策に関しては昨年と同様にハイブリッド債とハイブリッドローンを合わせて3000億円程度の調達を目指す考えを示した。一定割合を格付け機関から資本と認定されるため、格付けを意識した「資本の補強」を図る。ハイブリッド債は1000億円から募集を始めており、2000億円程度を目標とする。9月上旬にも詳細が決まる見通し。調達した資金は有利子負債の借り換えに充てる。

【外国格付け機関による総合商社5社の格付け】

ムーディーズS&P
Aa2AA
Aa3AA-
A1A+
A2三菱商三菱商、三井物
A3三井物Aー伊藤忠、住友商
Baa1伊藤忠、住友商BBB+
Baa2丸紅BBB丸紅
(格付けの一覧表を追加します.)
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