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カーソン・ブロック氏、米医療機器セント・ジュードに空売り仕掛ける

  • ハッカー攻撃に対するペースメーカーや除細動器の脆弱性を指摘
  • アボットによるセント・ジュード買収計画に影響も

著名な空売り投資家カーソン・ブロック氏率いる調査会社マディー・ウォーターズは25日、米医療機器メーカー、セント・ジュード・メディカルの株式を空売りしていることを明らかにした。同社の心臓補助装置がハッカー攻撃のリスクに対し脆弱(ぜいじゃく)だと指摘している。

  ブロック氏は25日付の投資家向けリポートで、セント・ジュードのペースメーカーや除細動器の問題を指摘。米国の数万人の利用者を危険にさらしていると主張した。

  これに対し、セント・ジュードのフィル・エベリング最高技術責任者は「全く真実ではない」と反論。何層ものセキュリティー対策が施されており、全ての製品について継続的に安全評価を行い、外部の専門家と協力していると説明した。

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心臓補助装置

Photographer: Matt Stroshane/Bloomberg News

  セント・ジュードは今年4月、米アボット・ラボラトリーズに身売りすることで合意している。ブロック氏の主張が正しいと証明された場合、買収計画が頓挫するか、条件の再交渉につながる可能性がある。25日のニューヨーク市場でセント・ジュードの株価は5%安の77.82ドルと、買収合意に基づく当初の評価額である約85ドルを大幅に下回っている。

  アボット広報担当者のスコット・ストフェル氏はコメントを控えた。

  テクノロジーや医療業界の関係者の多くは、そうしたハッキング攻撃のリスクはごくわずかだと話す。しかしブロック氏は33ページに上るリポートで、セント・ジュードの製品の欠陥は競合他社の製品と比べてあまりにも大きく、リコールを実施して問題が解決されるまで販売を中止すべきだと主張している。

  ブロック氏はブルームバーグテレビジョンとのインタビューで、「誰かが大規模な攻撃を仕掛け、こうした埋め込み型装置の誤作動を引き起こすことが悪夢のシナリオだ」と語った。

  3カ月前にマディー・ウォーターズに接触し、こうした問題を伝えたのは米マイアミ州を拠点とする新興サイバーセキュリティー会社メドセック・ホールディングスだった。メドセックによると、ハッカーが主要医療機器メーカー4社の製品の安全性欠陥を1年余り前から探っていた。その結果、セント・ジュードの製品の問題の大きさが際立ったと、自身も経験豊富なハッカーであるメドセックのジャスティーン・ボーンCEOは説明した。

  ボーンCEOによると、メドセックが受け取る報酬はマディー・ウォーターズの空売りの成功に連動する。同CEOはこうした取り決めが批判を招く可能性を認識しているとした上で、セント・ジュードにサイバーセキュリティーへの無関心さに対する代償を支払わせる上で、ブロック氏と組むことが最も強力な方法だったと述べた。

  他のサイバーセキュリティー専門家らによれば、セント・ジュードの機器の利用者が実際にハッカー攻撃にさらされるリスクは、ほとんど理論的なものに限られる。ハッカー攻撃の大半は利益を得ることを動機とする犯罪。患者に危害を加える目的で医療機器がハッキングを受けたことを示す公的記録はない。

  メドセックのボーン氏は広い人脈を持つ研究者で、過去にはブルームバーグ・ニュースの親会社であるブルームバーグLPなどの企業でリスク管理の業務に携わった経験がある。メドセックはヘッジファンド、メタバル・キャピタルの元ポートフォリオマネジャー、ロバート・ブライアン氏が2015年に創業した。

原題:Carson Block Takes on St. Jude Medical Claiming Hack Risk (2)(抜粋)

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