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【インサイト】ブラックロックが汚れたCDOの親戚に魅せられる理由

ローン担保証券 (CLO)や債務担保証券 (CDO)という頭字語を耳にすれば、誰もが米リーマン・ブラザーズ・ホールディングスとベアー・スターンズを破綻させた先の金融危機のことをすぐに思い浮かべるだろう。 

  米資産運用会社ブラックロックがそれらの証券にチャンスがあると考えるのは、恐らくその衝撃の反動なのかもしれない。クレジット市場で劇的な発作が発生してから8年が経過した今でも、同じような格付けの高利回り債やローンと比べてCLOは懐疑的な扱いを受けており、その理由から利回りも高い。

Anniversary of Lehman Collapse

かつてのリーマン・ブラザーズ本社ビル

Photographer: Jeremy Bales/Bloomberg

  ブラックロックで債券最高投資責任者(CIO)を務めるリック・リーダー氏は、ブルームバーグテレビジョンとの先週のインタビューで、「CLO市場には大きな価値があると考えている。原資産のローン市場よりもはるかに割安だ」と語った。

  一例を挙げよう。ウェルズ・ファーゴ・セキュリティーズが集計したデータによれば、「BB」格付けCLOの指標金利に対する上乗せ利回り(スプレッド)は7.75 ポイントだが、同じ格付けのローンは3.68 ポイントにすぎない。

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  CLOへの投資は、あたかも滝から流れ落ちる水を集めるようなものであり、水とはこの場合、証券化された法人向け融資のプールから得られる元利の支払いだ。優先順位の高いCLOを購入した投資家は、より返済順位の低い他のCLOの保有者より先に返済を受ける権利がある。

  CLOは構造が似ているためCDOとひとくくりにされることが多い。住宅ローンを裏付けとするCDOが金融危機の深刻化で悪者扱いされ、その後ほとんど消滅したのに対し、CLOは中央銀行の金融刺激策が8年続く中で生き残り、うまく育っている。住宅ローン業界に横行したような不正に巻き込まれることなく、金融危機をまずまずの状態で切り抜けたという事実にCLOの投資家は安心感を抱いているようだ。

  ここ数週間でCLOに引き寄せられた投資家は、ブラックロックだけではもちろんない。2008年に信用市場の発作が発生した後、多額の持ち高を清算していた日本の投資家も戻りつつある。返済順位の高いCLOの購入に保険会社が殺到したことで、これらのCLOの利回りは1年ぶりの水準に低下し、新規発行も相次いだ。

  イングランド銀行(英中央銀行)が社債の買い入れを開始し、米連邦準備制度も追加利上げを焦っていないことを示唆する中で、投資家が全般に米国のクレジット市場に急ぎ回帰する状況が、CLOへの関心の高まりを説明する最も明白な理由と言えるだろう。投機的格付けのローンは特に大きな恩恵を受けており、09年以降で最良のリターンが実現した。

LIBOR上昇も追い風

  さらに最近のロンドン銀行間取引金利 (LIBOR)の上昇に伴い、ローン投資家や返済順位の高いCLOの保有者は、今後数カ月でさらに多くの投資利益が得られそうだ。ローンの変動金利はLIBORに連動しており、ドル建てLIBORは09年以来の水準に上昇している。

  「この映画、前に見たことはなかったかな」と頭を振りながら考える人もいるかもしれない。企業のクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)スプレッドが上昇し、リスクへのレバレッジドエクスポージャーを格付けの低いCLOが提供する状況を考えてみよう。レバレッジと信用リスクを足し算すれば、恐怖ということになるのではないか。

  だが、ドイツや日本の国債がマイナス利回りとなる状況で、偏見を持ち続けることはより難しいだろう。オルタナティブ投資の選択肢は特に狭まっており、CLOのような証券の魅力に引き寄せられる投資家を批判しにくいのが現状だ。

  (このコラムの内容は必ずしもブルームバーグ・エル・ピーの意見を反映するものではありません)

原題:BlackRock Sees Opportunity in Cousin of Blemished CDOs: Gadfly(抜粋)

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