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スワップ担保80兆円超必要か-9月に新要件施行、大手銀対応急ぐ

更新日時
  • 米銀や邦銀は9月1日から新要件を順守する義務が生じる
  • 欧州の銀行は期限までに対応が間に合わない恐れ、導入遅れる公算

店頭デリバティブ(金融派生商品)市場で来月導入される新たな担保要件を満たすため、世界の大手銀行が対応に追われている。

  数十年ぶりとなる大掛かりなスワップ市場改革への金融機関の対応を支援するコンサルタントや法律専門家、経営幹部らによれば、取引のために担保をやりとりするシステムの試験や新たな法律文書への署名、コンプライアンス(法令順守)のコスト抑制に役立つモデルの監督当局による承認を各行は急いでいる。

  金融危機後に世界各国の監督当局が何年も慎重な検討を重ねた結果、数百ページの文書にまとめられた規制が近く施行される。ある取引業者のデフォルト(債務不履行)が他の業者や金融システム全体にリスクを拡散させる危険を防止するため、現金や国債、他の種類を含む7000億ユーロ(約80兆円)余りの担保が、新規則の下で最終的に必要になる可能性があると国際金融監督当局は推計している。

A JPMorgan Chase & Co. Bank Branch Ahead Of Earnings Figures

JPモルガン・チェースの支店(ニューヨーク)

Photographer: Eric Thayer/Bloomberg

  法律事務所リンクレーターズのパートナー、ディーパック・シトラニ氏(ロンドン在勤)はインタビューで、「規制が迫っていることはしばらく前から分かっていたが、日程に間に合わせることは厳しいのが常であり、最後の最後までぎりぎりの努力が続くだろう」と語った。

  米銀JPモルガン・チェースモルガン・スタンレー、シティグループといった金融機関のスワップ取引部門は、米国や日本で9月1日から新要件の順守が義務付けられる。一方、欧州の銀行監督当局は期限までの対応が間に合わない恐れがあるとして、実施を来年まで先送りする意向を示しており、市場の一貫性が失われる懸念もある。

  シンガポールとオーストラリアの監督当局は、新要件の導入にもっと時間をかける方針を22日に表明。シンガポール当局はこの決定について、国境を越えた調整の問題や業界による準備の進展状況を考慮したものであり、金融市場に意図せざる混乱を引き起こすことを回避するのに役立つと説明した。一方、香港金融管理局(HKMA、中央銀行に相当)も「他の主要管轄区域の最近の動き」を理由に挙げ、実施を遅らせることを決めたと報道官が電子メールで発表した。これら3つの国・地域は、いずれも新たな施行期日を示していない。

  スワップ取引の新要件を満たすために最終的に必要となるイニシャルマージン(当初証拠金)について、米監督当局は約3150億ドル(約31兆6000億円)、欧州連合(EU)当局は2000億ユーロ以上とそれぞれ見積もっている。国際決済銀行(BIS)によれば、店頭デリバティブ市場の規模は昨年末時点で493兆ドルに達する。

  

原題:Banks Sprint to Meet $493 Trillion Swaps Market Margin Rules (2)(抜粋)

(シンガポールと豪州、香港も実施を遅らせるとの発表を追加して更新します.)
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