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ゆうちょ銀:「確かに高い」ヘッジファンド信託報酬、値下げ交渉も

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マイナス金利下で運用難の中、ヘッジファンド投資を始めるゆうちょ銀行は、当面最大5本のファンド・オブ・ファンズを通じた投資を検討している。残高に応じてファンドに支払う信託報酬については引き下げ交渉も検討している。

  ヘッジファンドの報酬は、残高に応じて一定比率を支払う信託報酬と、運用成績次第で決まる成功報酬に大別される。特にファンド・オブ・ファンズの場合は、投資先のヘッジファンドへの報酬と二重に支払うことになる。米国では高い手数料や低調なパフォーマンスを懸念して、年金に続き大学基金や財団もヘッジファンドへの資金配分を減らしつつある。

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ゆうちょ銀行の池田憲人社長

Photographer: Yuriko Nakao/Bloomberg

  ゆうちょ銀市場部門の宇根尚秀執行役員審議役は、信託報酬に関して「確かに高い」との認識を示し、良いマネージャーは報酬を下げる必要がないものの、ヘッジファンドへの資金が集まりにくい環境のため、報酬引き下げに向け「積極的な交渉も検討する」方針だ。

  データ提供会社のイーベストメントによると、現在のファンド・オブ・ヘッジファンズの平均的な運用報酬(信託報酬)は1.18%、成功報酬は8.1%。運用報酬は09年以降、成功報酬は11年以降、低下する傾向にある。

国内債券が4割占める

  ゆうちょ銀は昨年11月に株式上場を果たした。今年6月末時点で205兆円の運用資産があり、内訳は日本国債約80兆円(運用資産の39%)、地方債・社債が16兆6000億円(同8.1%)、外国証券45兆7000億円(同22.2%)など。日本銀行の異次元金融緩和で債券運用は難しくなっており、中期経営計画で、国際分散投資を加速したり、オルタナティブ(代替)など投資領域を開拓する方針を打ち出していた。

ヘッジファンド

  世界のヘッジファンドのパフォーマンスを示すHFR指数は、年初の株価下落などを背景にこの7カ月間で1.23%と振るわず、ファンドからの資金流出も続いている。

  こうした中でも宇根氏は、株式相場とヘッジファンドの「相関係数1でない限りは幾分、分散効果はある」と述べ、ヘッジファンド投資は「低金利下においては昔ほどはもうからないかもしれないが手法としては有効」と評価。「株式と相関性の低いファンドへの投資を優先する」という。HFR指数と、世界の株価を示すMSCIワールド指数の過去1年間の相関係数は0.88。

  市場のボラティリティの高まりで運用成績が低迷しており、「今から始めるという視点からみると、もしかしたら機会なのかもしれない」と、慎重にリスクをみながら段階的に投資を進めていくという。

  また、具体的に決定はしていないとしながらも、優秀だが資金の集まりにくい新興運用者への投資については「収益の観点からもチャンスになる」と見て、研究を続ける考えだ。人工知能やビッグデータを使って運用するヘッジファンドについても「関心があって研究を続けている」と述べた。

PE

  一方、同部門でプライベートエクイティ(PE)・不動産投資を担当する清水時彦執行役員は、PE投資について株主への配当原資となる「キャッシュフロージェネレーター」と位置付け、「一定の額を投資し続け結果的に長期平均的にリターンを取っていく」と言う。投資地域については米欧が歴史的にも早くマーケットが確立され、日本は今後の伸びが期待されているとし「マーケットの成熟度に応じた形での投資を考えている」と述べた。

  同行は昨年6月、元ゴールドマン・サックス証券副社長の佐護勝紀氏を執行役副社長で、運用担当の責任者として採用。同年9月にゴールドマンから宇根氏、同年10月にはGPIFで資産構成見直しの実務を担った清水氏が加わった。

(第10、11段落を追加して更新しました.)
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