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天皇陛下:「象徴の務め」果たせるか案じる-ビデオでお気持ち

更新日時
  • 安倍首相「重く受け止め」、政府として対応を検討へ
  • 皇室典範は生前退位、譲位を想定せず-共同世論調査で容認が85.7%

天皇陛下は8日午後、国民に向けたビデオメッセージで、体力の衰えなどを理由に全身全霊で象徴の勤めを果たせるか案じているとの気持ちを表明された。約10分間にわたりメッセージを読み上げたビデオをNHKが放映し、宮内庁のウェブサイトにも掲載された。

  「退位」という言葉は直接使わなかったものの、自らがこれまでと同じように職務を続けることが難しくなってきたとの気持ちを率直に述べるものとなった。安倍晋三首相は記者団に対し「天皇陛下が国民に向けてご発言されたということを重く受け止めている」と述べ、公務の在り方などを政府として検討する考えを示した。

  天皇陛下はメッセージの中で、2度の外科手術や高齢による体力の低下を覚えるようになったころから、従来のように重い務めを果たすことが困難になった場合、どのように身を処していくことが国、国民、皇族にとってよいか考えるようになったと明かした。その上で、「これまでのように、全身全霊をもって象徴の務めを果たしていくことが、難しくなるのではないかと案じています」と語った。

japan emperor akihito

天皇皇后両陛下

Photographer: Toru Yamanaka/AFP via Getty Images

  天皇の高齢化に伴って国事行為や象徴としての行為を限りなく縮小していくことには「無理があろうと思われます」と述べた。天皇の行為を代行する摂政を置くことに言及しながらも、その場合でも、「十分にその立場に求められる務めを果たせぬまま、生涯の終わりに至るまで天皇であり続けることに変わりはありません」との考えを示した。

国民に理解求める

  さらに天皇が深刻な状態に至った場合の社会の停滞や国民の暮らしにも影響が及ぶと指摘。葬儀に関する行事や新時代に関わる諸行事が同時に進行し、取り残される家族が非常に厳しい状況下に置かれる事態を避けたいという気持ちもあると述べた。その上で、象徴天皇の務めが常に途切れることなく安定的に続いていくことを念じていると述べ、「国民の理解を得られることを切に願っています」と結んでいる。

  安倍首相はメッセージについて記者団に対し、「ご年齢やご公務の負担の現状を鑑みる時、天皇陛下のご心労に思いをいたし、どのようなことができるのか、しっかり考えていかなければいけないと思っている」と語った。

ご体調と公務

  NHKは7月13日夜、天皇陛下が、天皇の位を生前に皇太子さまに譲る「生前退位」の意向を宮内庁の関係者に示されていることが分かったと、宮内庁関係者の話として伝え、全国紙も一斉に同様の内容を伝えた。宮内庁は翌14日、「報道されているような事実はない」とコメントしていた。
 
  宮内庁ウェブサイトによると、天皇陛下は昭和天皇の第1男子として1933年12月23日に生まれた。59年に故正田英三郎第1女子の美智子さまと結婚。89年1月7日の昭和天皇崩御により即位した。お名前は明仁(あきひと)さま。憲法や皇室典範の規定によると、天皇陛下が退位すると、皇太子さまが天皇に即位され、皇太子妃雅子さまが皇后になる。 

  天皇陛下は2012年2月、東京大学医学部付属病院(東京都文京区)で心臓冠動脈のバイパス手術を受けた。その際の国事行為については、憲法などの規定に基づき、皇太子殿下がおよそ2カ月間職務を代行した。

  陛下は復帰後、皇后陛下と共にインドなど外国ご訪問も続けている。国内も視察や行事などへの臨席、被災地へのお見舞いなどで、復帰後も年間10回以上、道府県を回っている。これに加え海外からの賓客の歓迎行事や晩餐(ばんさん)、宮中の行事など陛下は多くの公務に当たっている。

皇位継承 皇室典範改正

  皇位の継承については、憲法と皇室典範で定められている。憲法では「皇位は世襲」としており、皇室制度を定めた「皇室典範」には、天皇の退位「天皇が崩じたとき」に皇位継承順位1位の皇族が「直ちに即位する」と明記されているが、いずれも生前退位や譲位は想定していない。

  共同通信が今月3、4日に実施した世論調査では、天皇陛下の生前退位について「できるようにしたほうがいい」と容認する人が85.7%に上った。また陛下の公務については89.5%が「多いと思う」と回答した。

(第2段落を加筆し、第9段落に情報を追加します.)
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