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債券下落、30年入札警戒で売り優勢-金融政策の不透明感も重しとの声

更新日時
  • 新発20年債利回り0.325%まで上昇、新発30年債利回り一時0.42%
  • 30年債入札、0.4%の水準自体が十分か分からない-パインブリッジ

債券相場は下落。前週末の米国債相場が予想を上回る米雇用統計を受けて下落したことや、30年債入札を翌日に控えた売りで超長期ゾーンを中心に下げた。日本銀行は7月の金融政策決定会合での「主な意見」を公表したが、つかみどころのない内容で先行き不透明感が相場の重しになったとの見方が出ていた。

  8日の長期国債先物市場で中心限月9月物は、前週末比34銭安の151円27銭で取引を開始し、一時は151円02銭まで下げた。午後は151円15銭付近でもみ合いとなり、結局は43銭安の151円18銭で引けた。

長国先物の日中取引推移

  パインブリッジ・インベストメンツ債券運用部の松川忠部長は、「米雇用統計を受けて債券は軟調。根本的には日銀のスタンスが良く分からないことが背景にある。相場が上昇していた時は、買いあせり感から買いが入っていた。しかし、今はより高い金利で買えるかもしれないとのメンタリティーになっている」と話した。

  現物債市場で長期金利の指標となる新発10年物国債の343回債利回りは、日本相互証券が公表した前週末午後3時時点の参照値より3ベーシスポイント(bp)高いマイナス0.07%で開始し、マイナス0.045%まで上昇した。新発20年物の157回債利回りは一時4bp高い0.325%と4月27日以来の高水準を付けた。新発30年物の51回債利回りは3.5bp高い0.42%と、4月25日以来の水準まで上昇した。新発40年物の9回債利回りは3bp高い0.495%と3月末以来の高水準に達した。

  三菱UFJモルガン・スタンレー証券の稲留克俊シニア債券ストラテジストは、「前週末の米債相場の下落に加え、明日の30債年入札に対する警戒感が強い。金融政策の先行きが不透明なままなので、特に超長期ゾーンは不安定になりやすい。岩田規久男副総裁が緩和縮小を否定したが、債券市場には国債買い入れの柔軟化など疑心暗鬼が残っている」と指摘した。

  財務省は9日午前に30年国債入札を実施する。51回債のリオープン発行で、表面利率は0.3%の見込み。発行額は8000億円程度となる。

  30年債入札について、パインブリッジの松川氏は、「利回り0.4%台に乗ったところで多少買いも入っている。ただ、3月時点では0.7%だったので、今の0.4%の水準自体が十分かどうかは分からない。これまで入札後に売られているので業者のポジションも重たい状況。明日に買いが入るかどうか分からない」と述べた。

日銀の主な意見

  日銀はこの日の午前、7月28、29日に開いた金融政策決定会合での政策委員の「主な意見」を公表した。9月の次回会合でマイナス金利付き量的・質的金融緩和の効果を総括的に検証すると決めたことについて、委員からは、2%の物価目標達成のために、何が必要かという視点から総括的な検証が必要だと主張する声があった。また、超長期国債は流動性が大きく低下しボラティリティが高まるリスクがある、これは国債買い入れの困難度の高まりを象徴し国債市場全体の将来の姿を先取りとの意見もあった。

  三菱UFJモルガン・スタンレー証の稲留氏は、「超長期国債の流動性低下と国債買い入れの困難度の高まりが指摘される一方、金融緩和の『量』の限界は国債の発行残高だといった意見もあり、つかみどころがない」と分析した。

  野村証券の松沢中チーフストラテジストは、「超長期ゾーンの需給逼迫(ひっぱく)、過度なフラット化に対するネガティブな意見が複数見られた。特に『年金財政の悪化が人々のコンフィデンス低下につながる』という意見が目を引く」と分析した。「主流派の意見とは考えづらいが、少なくとも総括的な検証の主要項目となりそう」だと言う。

  日銀が9月20、21日の金融政策決定会合で行う「総括的な検証」をめぐり、市場関係者の多くが追加緩和につながる可能性が高いと見ていることがブルームバーグのエコノミスト調査で分かった。エコノミスト33人を対象に1-4日に実施した調査で、22人(67%)が検証の実施によって次回会合での追加緩和の可能性が高まったと回答。28人(85%)が検証はマイナス金利を撤回する方向にはならないと答えた。

  5日の米国債相場は反落。米10年債利回りは前日比9bp高い1.59%程度で引けた。7月の米雇用統計で非農業部門雇用者数が前月比25万5000人増加と、市場予想の18万増を大幅に上回り、米景気に対する安心感から売り優勢の展開となった。

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