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【今週の債券】30年入札後に金利低下か、「主な意見」で波乱との声も

  • 長期金利の予想レンジはマイナス0.15%~マイナス0.04%
  • 「主な意見」が市場のかく乱要因になる可能性-SMBC日興

今週の債券市場では長期金利の低下が予想されている。日本銀行の金融政策に対する不透明感を嫌気した売りで、利回り水準が今年度初めまで達したことで30年債入札では投資家需要が見込まれており、入札終了後には低下圧力が掛かりやすいとの見方が出ている。

  長期金利の指標となる新発10年物国債利回りについて、ブルームバーグが前週末に市場参加者4人から聞いた今週の予想レンジは、全体でマイナス0.15%~マイナス0.04%となった。2日にマイナス0.025%と4カ月半ぶりの水準まで上昇。その後は買い戻され、5日にはマイナス0.105%まで下げた。

  岡三証券の鈴木誠債券シニアストラテジストは、「30年債や40年債が年度初めの水準にほぼ到達し、先行きが不透明な中でさらに売るのも躊躇(ちゅうちょ)される。投資家の押し目買いに支えられ、相場の戻りを試す展開」と予想する。

長期金利の推移

  8日に日銀が7月28、29日に開催した金融政策決定会合の「主な意見」を公表する。同会合では、次回9月会合で現行のマイナス金利付き量的・質的金融緩和の効果を総括すると言及。これを受けて、債券市場では政策の先行きが見通せなくなってきたとの受け止めや、緩和縮小観測も浮上して売りが優勢となった。

  SMBC日興証券の森田長太郎チーフ金利ストラテジストは、「7月会合の『主な意見』が大きな注目材料であり、ここにまた9月の『総括検証』のヒントと解釈されるような内容が含まれていれば、市場材料になり得る」と言う。「主な意見」は、各メンバーの了解を得る「議事要旨」とは若干性格の異なるものではあるとしながらも、「逆に市場のかく乱要因になる可能性もないとは言えない」と指摘した。

  9日に30年国債入札が実施される。51回債のリオープン発行で、表面利率は0.3%の見込み。発行額は8000億円。新発30年物51回債利回りは前週に一時0.41%と4月以来の高水準を付けた。マスミューチュアル生命保険の嶋村哲金利統括グループ長は、「まだ一段の金利上昇のリスクはあるが、現状ではそこは絶好の買い場と判断できる」と話した。

  前週末の米国債市場では、7月の米雇用統計が市場予想を大幅に上回り、米10年物国債利回りは1.59%と約2週間ぶり水準に上昇。週明けの円債市場で売り材料となる見込み。

予想レンジと相場見通し

  市場参加者の今週の先物中心限月、新発10年物国債利回りの予想レンジと債券相場見通しのコメントは以下の通り。

*T
◎三井住友アセットマネジメントの深代潤債券運用グループ理事兼副ヘッド
先物9月物=151円20銭-152円20銭
新発10年物国債利回り=マイナス0.15%~マイナス0.05%
  「中国は利下げ期待が出ているので、経済指標で景気を確認する。国内経済指標では景気ウオッチャー調査と、7月の日銀会合の『主な意見』が注目される。9月会合で何を『検証』するかの手掛かりになる。30年債入札については、業者のポジションが傷んでいるので積極的にリスクを取れないと思う。下値不安を払しょくできるのか気になる。絶対金利水準から投資家の買いが入って無難に切り抜ければ、相場は落ち着くとみている」

◎マスミューチュアル生命保険運用戦略部の嶋村哲金利統括グループ長
先物9月物=150円90銭-152円30銭
10年物国債利回り=マイナス0.14%~マイナス0.04%
  「引き続き値動きの荒い展開となりそう。注目点は財務相が40年債増発を明言し、ゼロ金利深堀りの見送りと緩和縮小観測で債券市場が大荒れとなった中で実施される30年債入札。この目まぐるしい動きのままでは、入札そのものの不透明感が高く、入札前後は荒っぽい動きになりそう。金融緩和の縮小観測については現状では行き過ぎとみられ、10年スワップ金利などを見ると程よい調整になったと判断できる」

◎岡三証券の鈴木誠債券シニアストラテジスト
先物9月物=151円30銭-152円00銭
新発10年物国債利回り=マイナス0.13%~マイナス0.06%
  「日銀が次回9月の金融政策決定会合で、これまでの政策の総括的な検証を行うとしたことから、市場ではさまざまな見方が広がっている。黒田日銀総裁や岩田副総裁は金融緩和政策の縮小を否定しているが、国債買い入れの限界などが意識される中で、先行きを慎重に見る市場参加者も増えている。景気対策により一時的に景気が押し上げられるとの見方も、利回りの低下を抑える要因だろう」

◎アムンディ・ジャパンの浜崎優市場経済調査部長
先物9月物=151円00銭-152円00銭
新発10年物国債利回り=マイナス0.15%~マイナス0.05%
  「 長期金利は横ばいからやや低下の方向とみている。前回の日銀決定会合を受けた影響が一巡し、政府の経済対策も市場で注目された『真水』の規模が十分でなく、景気回復期待が強まらないとみられ、急激な利回りの上昇は見込みにくい。米雇用統計はネガティブサプライズとポジティブサプライズを交互に繰り返しており、今回結果を受けた相場のインパクトは限定的となる可能性がある。市場参加者は夏期休暇シーズン入りし、神経質ながらもみ合いとなりそうだ」
*T

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