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商社決算:資源下落補えず4社が減益、三菱商は伸ばす-4~6月期

  • 一過性利益の減少もあり伊藤忠、丸紅、住友商、三井物が2ケタ減益
  • 三菱商や三井物は市場の期待を上回る利益を計上-三菱モルガン

総合商社5社の2016年4-6月期連結決算(国際会計基準)が5日、出そろった。前年同期と比べて原油などの資源価格の下落によりエネルギーや金属部門の利益が落ち込んだことに加えて、株式売却益などの一過性利益の減少もあり4社の純利益が2桁減益となった。

  同日決算を発表した丸紅の矢部延弘最高財務責任者(CFO)は「引き続き資源価格の低迷や円高もあって取り巻く経営環境は厳しい」と語った。ブルームバーグ端末上のデータによると同期のニューヨーク商業取引所(NYMEX)WTI原油先物価格の平均は1バレル当たり45.64ドルと前年同期と比べて2割低い水準。ロンドン金属取引所(LME)の銅価格も約2割下がった。エネルギー部門の純損益が58億円の赤字と97億円悪化し、金属資源部門も13億円の赤字と57億円悪化した。

  原油価格の低迷は非資源事業の一部にも影響を与えた。住友商事では北米での油ガス田開発用の鋼管や中東地域での自動車の販売が落ち込んだ。高畑恒一CFOは「イラクやリビアでの自動車販売が政情不安だけでなく、原油ガス価格低迷によるビジネス・モメンタムの悪化で従前のようにさばけていない」と説明した。

  一過性利益の減少も響いた。三井物産や住友商は前年同期に不動産の売却益や国内液化石油ガス(LPG)元売り事業統合に伴う利益などの計上がそれぞれあった。

  伊藤忠商事も前年同期に米国の建材子会社の売却益や米シェールガス事業からの撤退に伴う税効果といった一過性利益を計530億円計上しており、その反動もあった。ただ、昨年出資した中国政府系企業CITICグループからの利益貢献もあり、鉢村剛CFOは「実質ベースでは増益。極めて不透明な経営環境の中、派手さはないが総じて予算達成に向けて堅調な決算だった」と振り返った。

増益の三菱商

  唯一、増益を果たしたのが三菱商事。市況低迷などで赤字の続いていた豪原料炭事業が15年1-3月期以来となる5四半期ぶりの黒字転換を果たした。増一行CFOは「一番影響が大きかったのはコスト削減」と説明。前年同期に赤字だった鮭鱒事業も市況改善で黒字転換した。出資先のカナダの2つのシェールガス事業統合に伴う再編益160億円、インドネシアのニッケル事業権益の売却益80億円といった一過性利益の計上も寄与した。

  三菱UFJモルガン・スタンレー証券の永野雅幸シニアアナリストは「三菱商事や三井物産は市場の期待を上回る利益を出しておりポジティブ」と評価。原料炭や鉄鉱石の足元の価格は会社想定を上回って推移していると見られるとして、現状の市況が続けば両社の利益は計画を上回る可能性も高いとの見方を示した。一方、「為替が一段と円高に振れており、自動車販売などでの各社に与える影響には注意が必要」と述べた。

  資源価格の先行きについて三菱商の増CFOは「原料炭や銅の価格は大きく期待するほどではなく、まだ不安定」と指摘。三井物の松原圭吾CFOも「原油価格はここにきて弱含んでおり、下半期に緩やかに上昇すると見ていたが楽観視していない」と語った。

【総合商社5社の業績一覧】

4-6月の純利益通期の純利益計画進ちょく率
三菱商事     1008( 35)     2500(---)    40%
伊藤忠      731(-40)     3500( 46)    21%
三井物産      611(-37)     2000(---)    31%
丸紅      484(-32)     1300(109)    37%
住友商事      227(-72)     1300( 74)    17%

(注:単位は億円、カッコ内は前年同期比%、全社国際会計基準)

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