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フィデリティ、政投銀がネット印刷ベンチャー「ラクスル」に出資

更新日時
  • 日本政策投資銀行が事業支援で連携、社外取締役を派遣へ
  • ラクスルはIPOを検討、証券会社をアドバイザーに起用

インターネット印刷事業を手掛けるベンチャー企業ラクスル(東京都・品川区)が、フィデリティなどを引受先とする資本増強を3日までに実施したことが分かった。同社は新規株式公開(IPO)を視野に入れている。

  ラクスルの松本恭攝代表取締役はブルームバーグの取材に応じ、フィデリティ投信が運用する複数のファンドや日本政策投資銀行オプトホールディングなど6社に新株を発行し、約21億円を調達したことを明らかにした。同代表によれば、フィデリティ投信が日本でこうしたプライベートエクイティでの運用を行うのは初めて。

  2009年創業のラクスルは株式上場を検討している。松本最高経営責任者(CEO)によれば、モルガン・スタンレーのバンカーからの紹介もあり、今回上場に先立ちフィデリティなどを株主に迎えることになった。ネット印刷や集客支援、運送サービスからの売上高は16年7月期までの3年間で50倍に増えたという。

  松本CEOはブルームバーグとのインタビューで、「フィデリティが入ったことは上場後を見据えた資本政策を含め、いい形のファイナンスになった」と述べた。その上で「グローバルな機関投資家の資金が日本の未上場企業に入る流れが加速すると、日本のスタートアップのエコシステム」に好影響を与えるだろうと語った。

政投銀から社外取締役招聘へ

  フィデリティ投信は国内では年金基金や機関投資家、個人の資金を運用しており、主に国内外の取引所に上場する株式、債券やリートに投資している。松本CEOによれば、今回のラクスル株の引き受けは公表ベースでは同投信による日本の未公開株での初の投資運用になるという。

  今回で5回目となる増資にはフィデリティのほか、グローバル・ブレイン、GMO VenturePartners、Global Catalyst Partners Japanも参加している。ラクスルは4日、増資を正式に発表した。リード投資家である政投銀から社外取締役を迎え、政投銀も同行のネットワークを活用してラクスルを積極支援する。

  松本CEOは08年に慶応大学を卒業後、A.T. カーニーに入社。コンサルタントして顧客企業の経費削減プロジェクトに従事する中、印刷費が最も削減率が高いことに気付き、印刷業界に興味を持ったという。市場規模6兆円の同業界はITによる効率化が遅れており、インターネットで仕組みを変えようとラクスルを設立した。

不動産、美容などで需要旺盛

  同社は7月末時点で30万の中小企業や個人の顧客を抱える。調達した資金は同社で主力の印刷Eコマース、集客支援、物流事業の拡大のための人材、マーケティング、システム開発などへの投資に充てるという。松本CEOは現在約50人いる正社員数を「中期的に倍増していく」と述べた。

  「まだまだ大きなニーズがあると日々実感している」と松本CEO。「中小企業や地場の不動産屋、レストラン、美容院、鍼灸院やマッサージ、スポーツジムなど」限定されたエリアで低予算でチラシやパンフレットを配りたいという需要が多くあるという。クラウド上でデザインを制作、印刷機の非稼働時間を活用して早くて安い仕組みを提供する。

IPOを前提に経営

  ラクスルは、インドネシアのPrinzioやインドのInkmonkなど、名刺やカードなどのデザインや印刷などを手掛ける同業の海外企業に投資している。

  松本CEOは上場について「IPOを前提に経営している」と述べ、主幹事証券を起用していることを明らかにした。具体的な時期などは決まっておらず、コメントできないという。

英語記事:Fidelity Invests in Japanese Printing Startup RakSul Before IPO (1)

(第6段落に各社の正式発表の内容を追加します.)
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