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三菱自燃費不正「会社全体の問題」、閉鎖的体質変わらず-調査委報告

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燃費不正のあった三菱自動車では、会社が一体になり生産・販売する意識を欠き、閉鎖的な組織体質も改められていなかったなどと、外部有識者が調査で指摘した。早くから問題点や虚偽報告の指摘は出ており、違法性の認識はあったはずだとしている。

  三菱自は2日、燃費不正問題を調査していた特別調査委員会の報告書を公表。それによると、2000年以降、複数起こしていたリコール隠しなどの不祥事への対応として再発防止策を講じたにもかかわらず、閉鎖的な組織体質が改められず、燃費不正が見過ごされたと指摘。特に、開発は現場任せになるなど、会社が一体となって車をつくり、売るという意識が欠けていたとしている。その上で、性能実験部や開発本部などだけの問題ではなく、経営陣をはじめとする会社全体の問題と結論づけた。

  委員の坂田吉郎弁護士は発表会見で、05年に新人社員から走行抵抗測定方法の問題が指摘されたほか、11年にも評価試験の虚偽報告などの指摘があったにもかかわらず、何の改善もなされていなかったとし、「違法性の認識はあったはずだ」と述べた。委員の吉野弦太弁護士は、役員も含むヒアリングの中で性能実験部以下の関与は認定したが、それ以外は認定していないと話した。

  三菱自の益子修会長兼社長は会見で、調査報告について「自動車メーカー経営者として重く受け止めている」と述べた。人、もの、金、全てにおいて開発現場で苦しんでいたことを指摘していると述べ、「現場の生の声にもっと向き合う努力をすべきだった」と語った。

  報告書によると、三菱自では慢性的な人材不足に悩まされ、特に不正に関わった担当部署の人材の流動性は乏しく、特定の人物による専任化が進んだ結果、上司によるチェック機能が働かなくなったと指摘。経営陣については、直接関与した事実は認められないとする一方、競合車に勝つための燃費達成を求めるばかりで、開発の現場にほぼ任せきりにしていたと言わざるを得ないとした。

  開発部門で問題意識を持った従業員は「問題提起をしても効果がないものと判断し、上司に報告することを諦めるという状況」が生じていたともしており、不正があった軽自動車の開発過程で、「再三できないことを伝えているにもかかわらず、それが無視され、最後まで努力を続けさせられた」とし、それが不正につながったことは明らかだとした。

  再発防止に向けた指針として以下の点などを示した。

  • 開発プロセスの見直し
  • 屋上屋を重ねる制度、組織、取り組みの見直し
  • 組織の閉鎖性やブラックボックス化を解消するための人事制度
  • 法規の趣旨を理解すること
  • 不正の発見と是正に向けた幅広い取り組み
Mitsubishi Motor President Tetsuro Aikawa Resigns

三菱自の益子修会長(右)と相川哲郎前社長(5月の会見)

Photographer: Tomohiro Ohsumi/Bloomberg

  三菱自は今年4月、日産自動車へのOEМ(他社ブランドでの生産)供給分を含む軽自動車4車種の燃費表示で不正のあったことが発覚。これらモデルの水島工場(岡山県)での生産・販売停止に追い込まれた。5月には日産自が三菱自と資本業務提携に向けた協議・検討で基本合意。日産自が三菱自の第三者割当増資に応じ、株式発行総額は約2374億円になるとしていた。日産自は議決権比率で34%の筆頭株主になる見通し。

  日産自・取締役会技術顧問だった三菱自の山下光彦副社長は、事業構造改革室で組織的問題に取り組んでいるとした上で、三菱自では開発部門の部長から副社長まで5階層あり情報が伝わりにくいため、「開発現場に近いところにマネジメントを置くことを考えている」と話した。また、自動車メーカーでは役員も現場で技術論議をすべきだが、「それがされていなかった」とし、「私自身も論議に入れる仕組みをつくっていく」と語った。

  三菱自は不正原因の究明へ向けて特別調査委の設置を決定したと発表していた。調査は4月25日から7月31日までにわたり、関係資料の精査や計154人にのべ236回のヒアリングをした。

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