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白井前日銀委員:「総括的な検証」で市場の思惑強まる-追加緩和

  • 追加緩和は米利上げが想定される12月に実施し、効果最大に-白井氏
  • 黒田総裁は自信なかった-7月会合の小粒の追加緩和

日本銀行前審議委員の白井さゆり氏は日銀自身が市場の不安定な動きの一因になっているとした上で、黒田東彦総裁が次回9月の金融政策決定会合で行うとした金融政策の「総括的な検証」までの7週間に追加緩和をめぐるさまざまな思惑が強まると警戒感を示した。

  白井氏は1日、ブルームバーグとの電話インタビューで、日銀の追加緩和について、9月20、21日の次回会合で実施する可能性は否定できないとしながらも、効果を最大限にするため、米国の追加利上げが想定される今年12月に行うべきだと語った。

BOJ's Shirai Leaves All Options Open As Overseas Economies Slow

白井さゆり氏

Photographer: Junko Kimura/Bloomberg *** Local Caption *** Sayuri Shirai

  日銀はこれまで2%の物価安定目標に達する時期を4回先送りし、「2017年度中」と見込んでいる。黒田日銀総裁は先週の金融政策決定会合で、市場が追加緩和を見込む中、指数連動型上場投資信託(ETF)の買い増しという「質」の緩和にとどめ、必要な場合は量、質、金利の3次元で追加緩和を講じる姿勢をあらためて示した。小粒の政策変更に市場では失望が広まり、円相場は急上昇した。

日銀はコミュニケーション改善を

  一方で、次回会合で、マイナス金利付き量的・質的金融緩和下での経済・物価動向や政策効果について「総括的な検証」を行うための準備をするよう執行部に指示。市場では現行の金融緩和の枠組みが見直されるとの見方が広まっている。

  白井氏は「日銀がボラティリティーのもとになっている。日銀はコミュニケーションを改善しなければいけない」とした上で、「検証の発表は非常に唐突感があった。これもまたボラティリティーを高める方向に働く。市場は日銀が追加緩和するのかどうか迷うことになる」との見解を示した。

  白井氏は今年1月の金融政策決定会合でマイナス金利の導入に反対した4人の審議委員の1人だ。退任後に行った今年4月のインタビューでは、マイナス金利の拡大に否定的な見解を示すとともに「原点に戻り、行動の前に日銀が何をやっているのかを国民に伝えることに最善の努力をすべきだ」と主張していた。

  白井氏は1日のインタビューで物価目標を近い将来に実現するのは非常に困難だとして、まずは1%達成を目指すべきだとあらためて主張。一方、検証で日銀が現行の金融政策が機能していないとの結論に至る可能性は低いとの見方も示した。

  白井氏は黒田総裁が小規模緩和にとどめた背景について「黒田総裁は自信がなかったのではないか。いまここで国債買い入れ増額や、さらなるマイナス金利の深掘りを正当化できる確証がなかった」と分析。その上で、「物価目標達成まで今後数年はかかる中で日銀は政策の持続性を高めなければならない」と注文を付けた。

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