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都政の「ガラスの天井」突き破る-自ら風起こした小池百合子氏

更新日時
  • 政治信条は「大義と共感」、クールビズでライフスタイル変革
  • 課題は都議会との関係、小池氏は「ドンが勝手なことをする」と批判

東京都知事に当選した小池百合子氏(64)は防衛相、自民党総裁選出馬、自民党3役と女性初のドアを次々に開き、キャリアを積み重ねてきた。政界入りから24年。政党の推薦を得ることなく、「女一人の戦い」を勝ち抜いた。

  「誰かがその道へ飛び込み、『ガラスの天井』を突き破らなければなりません。ガラスの破片で血まみれになりながらでも、いま山の頂で手を振って導いてくれる先輩が女性にとっては必要なのです」-。小池氏は2013年に他の女性議員と共同で出版した「女性が活きる成長戦略のヒントvol.1-20/30プロジェクト。」(プレジデント社)でロールモデルになる意義を訴えている。

  6月29日の記者会見で「崖から飛び降りるつもりで、その覚悟で挑戦をしたい」と都知事選出馬への意欲を語った小池氏だが、自民党東京都連は元総務相の増田寛也氏を擁立。小池氏はそれでも立候補を決断した。

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小池百合子氏

Photographer: Yuya Shino/Bloomberg

  街頭演説では聴衆に「崖から飛び降りる行為でもって皆さんがハラハラしてここに来ていただいている。風を起こすために飛び降りている」と発言。政党側は自民、公明両党が増田氏、民進、共産など野党4党はジャーナリストの鳥越俊太郎氏を支援したが、「都知事というのは政党が決めるわけではない、組織が決めるわけでもない。みなさんの1票、1票で決める」と訴える小池氏に及ばなかった。

大義と共感

  52年、兵庫県に生まれた小池氏。14年に出版した著書「自宅で親を看取る 肺がんの母は一服くゆらせ旅立った」(幻冬舎)によると、小池氏は大正生まれの母・恵美子さんから「女性が何でも好きなことができる今みたいな時代に、何もしないでいるのは罪よ」「人と同じじゃつまらない」と言い聞かされて育てられた。

  カイロ大学に留学後、アラビア語通訳、テレビのニュースキャスターなどを経て1992年に結党したばかりの日本新党から参院選に立候補し、初当選。93年には衆院にくら替えし、以後、8回連続当選。2005年に当時の小泉純一郎首相が仕掛けた郵政解散で選挙区をそれまでの兵庫6区から東京10区に変更。郵政民営化反対派議員への「刺客」として議席を確保し、自民党の勝利に貢献した。

 「大義と共感」を政治信条に掲げる。選挙中にインターネットで公開した動画では環境相時代に気候変動対策の一環として取り組んだ夏の軽装「クールビズ」を国民生活に定着させたことに触れ、「国民の皆さまの共感を呼び起こし、大義を達成する手法で社会をささやかながら変革してきた」と実績を訴えた。

都議会

 
  政党の推薦なしで知事に就任する小池氏にとっての課題は自民、公明両党が過半数を占めている都議会との関係だ。街頭演説で自民党都連の意思決定は「不透明でブラックボックスだ」と批判。「ドンが勝手なことをするような都議会ではだめだ」とも指摘した。仮に自らの不信任決議案が可決されれば議会を解散する考えも示し、対決姿勢を鮮明にしている。

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小池氏が乗り込む東京都庁

Photographer: Tomohiro Ohsumi/Bloomberg

  小池氏を支援した都議会会派「かがやけTokyo」の上田令子都議(江戸川区選出)は「東京は議会改革が日本一遅れている」と話す。本会議だけでなく各委員会でも議員と都側が質問内容を事前に細かくすり合わせるなど、議論が形骸化していると感じるという。これまで注目されなかった都議会は「うやむや」な面があり、小池知事誕生で都民は都連が「何をするかを見ている」と指摘した。上田氏らは都知事選で小池氏を支持した。

  都議会では、14年に自民党の男性議員による野党の女性議員への「セクハラやじ」が問題となった。上田氏自身も女性蔑視と取れるやじを受けた経験があるとした上で、女性都知事の誕生に関しては「歴史的なこと」であり、男性議員が大勢を占める議会で活動する女性議員にとっては「なんと励みになることかと思う」と歓迎した。

接点

  開票から一夜明けた1日午前、小池氏は記者会見で、都議会との今後の関係について「都民の利益という点では必ず接点がある。議会の皆さまには協力をお願いすることになる」と発言。さらに「そうでなければ都政が停滞するということで、都民にとって不利な状況になってしまう」と語った。

  一方、菅義偉官房長官は1日午前の記者会見で、小池新知事との関係について「政府として国民のために連携は必要。選挙が終わったばかりなのでこれからのことになると思う」と述べた。 

  今年は1946年4月の衆院選で女性が初めて参政権を行使してからちょうど70年。内閣府男女共同参画局によると、この時の女性当選者の割合は8.4%。現在の衆院議員に女性が占める割合は9.2%(7月26日現在)にすぎない。


(第11、12段落に1日の小池百合子氏、菅官房長官の発言を追加します.)
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