債券相場は下落。長期金利は約1カ月ぶり水準まで上昇した。日本銀行が前週末に決めた追加緩和内容に失望して大幅安となった影響が残る中、2日に実施される10年利付国債入札に対する警戒感が強まり、売りが優勢となった。

  1日の現物債市場で長期金利の指標となる新発10年物国債の343回債利回りは、日本相互証券が公表した前日午後3時時点の参照値より1ベーシスポイント(bp)低下のマイナス0.19%で開始。直後から売りが優勢となり、午後に入ると一時マイナス0.13%と6月23日以来の水準まで上昇した。新発20年物の157回債利回りは4bp高い0.22%と約1カ月ぶり高水準まで売られた。新発30年物の51回債利回りは3bp高い0.29%、新発40年物の9回債利回りは一時0.375%と6月3日以来の高水準を付けた。

  メリルリンチ日本証券の大崎秀一チーフ金利ストラテジストは、「明日の10年債入札は、まだ押し目買いとは言いづらい環境の中で、どの程度日銀トレードの需要があるかが見えづらい」と指摘。「今日10年債利回りはマイナス0.13%で上昇が止まったが、明日の入札が流れれば、また一段の金利上昇になるリスクはある。現時点はマイナス0.10%、マイナス0.15%のどちらに向かうかといったところで、マイナス0.13%でいったん上げ止まったのではないか」と話した。

  長期国債先物市場で中心限月9月物は、前週末比10銭高の152円70銭で取引を開始し、直後に152円78銭まで上昇した。その後は水準を切り下げ、下げに転じた。午後に入ると一段安となり、48銭安の152円12銭まで下落。結局は36銭安の152円24銭で引けた。

  みずほ証券の辻宏樹マーケットアナリストは、「明日の10年債入札を控えて調整の動きが強まっている。かなり水準調整したが、ボラティリティが高い相場が続く可能性が高い。押し目買いの水準を探りにくい」と話した。

日銀追加緩和をめぐる観測

  前週末の国内債市場では、日銀が金融政策決定会合で決めた追加緩和策でマイナス金利幅の拡大などが見送られたことなどを受けて売りが優勢となり、ブルームバーグのデータによると、長期金利の上昇幅は3年ぶりの大きさとなった。

  バークレイズ証券の押久保直也債券ストラテジストは、「2年で物価2%のスローガンを下げるとの観測もあり、緩和姿勢やコミットメントの弱含みが市場で疑われやすくなる」と言う。「今の金融政策の限界が非常に意識される中で、マイナス金利拡大を理由に買い進みづらくなってくる。これまでどんどん利下げするとの見方があったからこそ買われていた」と話した。

  日銀の発表文によると、「次回会合で量的・質的金融緩和とマイナス金利付き量的・質的金融緩和の下での経済・物価動向や政策効果について総括的な検証を行う」とし、黒田東彦総裁が準備を執行部に指示した。7月30日付の日本経済新聞は、日銀が9月会合で異次元緩和の効果を検証するのに伴い、「2年程度で2%上昇」という物価目標の達成時期を取り下げる方針と報じた。

  メリルリンチ日本証の大崎氏は、総括的な検証について、「さまざまな可能性があるが、基本的には単純に三次元の緩和をそのまま強化することにはならないとみられ、国債市場にとっては良くて横ばい、ネガティブな材料となる可能性が高いと思っている」と話した。「マイナス金利を深堀りする可能性は残るものの、量については80兆円のマネタリーベース目標の柔軟性を持たせることや、ある種の金利ターゲット的な手法をとることも考えられる。また、物価目標の達成時期について2年というタイムフレームを外して、持続的に政府と協調する姿勢を示すことも考えられる」と指摘した。

 10年債入札

  財務省は2日に10年国債の価格競争入札を実施する。343回債のリオープン発行となり、表面利率は0.1%に据え置かれる見込み。発行予定額は2兆4000億円程度となる。4日には10年物価連動債の入札が予定されている。

  10年債入札について、みずほ証の辻氏は、「絶対水準は先物対比でみても調整したが、不透明感が続く可能性が高いので積極化しにくい。日銀決定会合で今後政策検証を通してマイナス金利の深堀り観測が高まっても中短期ゾーン中心に低下していく公算が大きく、長期債の押し目買いにはつながりにくい」と指摘。「プラス金利のスワップの方が良いのではないか」と述べた。

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