【債券週間展望】長期金利上昇か、相場急落余波や10年入札控えて売り

  • 上値が重いのは間違いない-岡三証
  • 日銀緩和策への期待がはく落、限界も意識される-メリルリンチ日本

来週の債券市場では長期金利の上昇が予想されている。日本銀行がこの日の金融政策決定会合の緩和内容に失望して相場が急落した影響が残ることに加えて、10年債入札を控えて売り圧力が強まりやすいとの見方が背景にある。

  長期金利の指標となる新発10年物国債利回りは27日、一時マイナス0.295%と8日以来の低水準を付けた。29日には日銀の追加緩和策にマイナス金利拡大や長期国債買い入れ増額がなかったことなどから売り込まれ、マイナス0.17%と6月24日以来の高水準を付けた。

  岡三証券の鈴木誠債券シニアストラテジストは、「マイナス金利の深掘り観測は残るが、緩和の枠組みも含めて買い入れ額が変化する憶測は生じやすい。上値が重いのは間違いない。10年債入札は利回りが上昇したのでそこそこ需要が出てくるかもしれないが、物価連動債の入札もあり需給的には重い」と話した。

  日銀は金融政策決定会合で、マイナス金利の導入を決定した1月以来半年ぶりの追加緩和を決め、指数連動型上場投資信託(ETF)の買い入れ額を年間6兆円に拡大した。長期国債保有残高の買い入れ増加ペ-スや0.1%のマイナス金利は据え置いた。日銀の発表文によると、「次回会合で量的・質的金融緩和とマイナス金利付き量的・質的金融緩和の下での経済・物価動向や政策効果について総括的な検証を行う」こととし、黒田東彦総裁がその準備を執行部に指示した。

  メリルリンチ日本証券の大崎秀一チーフ金利ストラテジストは、「声明を見ると次回に効果について検証すると記されている。このまま突き進むのではなく政策方針の転換への思惑も出やすい。政策転換の可能性からボラティリティが上昇しやすい」と話した。

  政府は8月2日に経済対策を閣議決定する。安倍晋三首相は27日午後、福岡市での講演で、「財政措置の規模で13兆円、事業規模で28兆円を上回る総合的かつ大胆な経済対策を来週取りまとめたい」と表明した。メリルリンチ日本証の大崎氏は「規模が報道の28兆円から振れるのか、市中発行額などを見極めたい。真水はあまり出ないと思う」と述べた。

国債入札

  財務省は2日に10年利付国債の価格競争入札を実施する。発行予定額は2兆4000億円程度。343回債のリオープン発行となり、表面利率は0.1%に据え置かれる見込み。

  4日には10年物価連動債入札が予定されている。21回債のリオープン発行で、表面利率は年0.1%に据え置きとなる。価格競争入札によるダッチ方式とし、応札は5銭刻み。発行予定額は前回と同額の4000億円程度。

  みずほ証券の丹治倫敦シニア債券ストラテジストは、物価連動国債について、「ブレーク・イーブン・インフレ率(BEI)は、中長期的な視点で見れば比較的割安に見える状況には変わりがない。短期的には厳しい環境下だが、必要分は確実に確保しておきたい」と指摘した。

  米国では5日に7月の米雇用統計が発表される。ブルームバーグ調査によると、非農業部門雇用者数は前月比18万人増が見込まれている。6月は28万7000人増だった。

市場関係者の見方
*T
◎パインブリッジ・インベストメンツ債券運用部の松川忠部長
*日銀会合後の相場急落でポジションが傷んでいるプレーヤーも多いとみられ、しばらくは立ち直り期間で動きづらい
*ただ、外部環境的には債券市場にとって悪くない状況
*長期金利の予想レンジはマイナス0.25%~マイナス0.15%

◎岡三証券の鈴木誠債券シニアストラテジスト
*実質的には下値模索に近い展開かもしれない
*マイナス金利の深掘り観測はなくならないと思うが懐疑的な見方が広がったのは事実
*長期金利の予想レンジはマイナス0.21%~マイナス0.15%

◎メリルリンチ日本証券の大崎秀一チーフ金利ストラテジスト
*日銀緩和策への期待がはく落し、限界も意識される
*10年債入札は今後も日銀の緩和期待が続くのであれば普通に通過、これ以上緩和できないとみられた場合は、難しいかもしれない
* 長期金利の予想レンジはマイナス0.25%~マイナス0.05%
*T

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