債券急落、マイナス金利幅据え置きで失望売り-長期金利は大幅上昇

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  • 先物は1円20銭安の152円60銭で終了、長期金利一時マイナス0.17%
  • 債券はマイナス金利の深掘りを織り込み過ぎていた-SMBCフ証

債券相場は急落。長期金利は3年ぶりの大幅上昇となった。日本銀行が指数連動型上場投資信託(ETF)買い入れ増額などの追加緩和措置を決めたものの、市場で期待されていたマイナス金利幅拡大や長期国債買い入れ増額が見送られたことで売りが優勢となった。

  29日の長期国債先物市場で中心限月9月物は、前日比7銭安の153円73銭で開始した。午前9時51分ごろから10時12分ごろまでシステム処理で大幅な遅れが生じた。午後に入って、日銀決定会合の結果発表を受けた後は水準を大きく切り下げ、一時は1円36銭安の152円44銭と日中取引で6月24日以来の水準まで下落。結局は1円20銭安の152円60銭で引けた。

  三井住友銀行の宇野大介チーフストラテジストは、「日銀の追加緩和は組み合わせ小出しでETF増額と成長支援のドル供給というもの。先行きの追加緩和期待も消失した。マイナス金利の深掘りがなかったことで先物が売られている」と述べた。

  日銀はこの日の金融政策決定会合で追加緩和を決め、ETFの買い入れ額を年間6兆円に拡大した。一方、長期国債保有残高の買い入れ増加ペ-スや0.1%のマイナス金利は据え置いた。マネタリーベースが年約80兆円に相当するペースで増えるよう金融市場調節を行う方針や不動産投資信託(J-REIT)の買い入れ方針も維持。ETFの買い入れ額は従来年3.3兆円だった。

  SMBCフレンド証券の岩下真理チーフマーケットエコノミストは、「冷静に考えれば、マイナス金利を深掘りしなくてありがとう、量の限界も認めた感じで、評価できるのかもしれない。債券は深掘りを織り込み過ぎていた」と述べた。

  現物債市場で長期金利の指標となる新発10年物国債の343回債利回りは、日本相互証券が公表した前日午後3時時点の参照値より0.5ベーシスポイント(bp)高いマイナス0.275%で開始し、いったんマイナス0.28%を付けた。日銀会合後は一時マイナス0.17%まで上昇。ブルームバーグのデータによると、日中の上昇幅は2013年4月5日に記録した30.5bp以来の大きさとなった。

  新発5年物の128回債利回りは11bp高いマイナス0.25%まで上昇した。新発20年物の157回債利回りは一時5.5bp高い0.20%、新発30年物の51回債利回りは3.5bp高い0.28%までそれぞれ上昇した。

  三菱UFJ信託銀行資金為替部商品課の鈴木秀雄課長は、「取りあえず、今回はマイナス金利の深掘りがなかったということで少し安心している。ただ、10bpの利下げを完全に織り込んでいた分、それがはけたことで2年と5年の売りがきつい。先物も大きく反応している。今回の措置で日銀の手詰まり感が一層見えてきた感じはする」と指摘した。「超長期は今のところ売られているが、イールドカーブとしてはこれまでのスティープニングからベアフラットニングが進んで行くことになるだろう」と述べた。

オペ運営方針

  日銀はこの日午後5時から、当面の長期国債買い入れオペの運営方針を発表する。8月初回の国債買い入れオペについて、超長期ゾーンの購入額が連続で減額されるかどうかが注目されている。

  三菱UFJ信託銀の鈴木氏は、「今回の措置で日銀の手詰まり感が一層見えてきた感じはする」と言い、運営方針については「8月の買い入れオペの計画を見て、日銀がカーブをどうコントロールしたいのかの意図を探りに行くことになる」と話した。

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