米金融当局、利上げへのゆっくりした歩みを開始-当面のリスク後退で

  • FOMC声明、9月会合での利上げ検討あり得るとの印象も
  • イエレン議長が8月26日に行う講演が次の注目イベント

米金融当局は年内の利上げに向けて一歩進んだ。だが、9月にも金利引き上げに動く可能性を示唆するまでには至らなかった。

  米金融当局者は27日に公表した連邦公開市場委員会(FOMC)声明で、米経済の評価を更新し、見通しへの当面のリスクは後退したとの判断を示すとともに、インフレ率は依然として低過ぎるものの、労働力の活用には「一定の増加」が見られると指摘した。

イエレン議長は8月26日にジャクソンホールで講演する

Photographer: Price Chambers/Bloomberg

  このところの国内経済の強さを認めることは、当局者の間に広がる楽観論について市場参加者に警戒感を抱かせることになるが、インフレ高進の勢いに乏しい場合や、世界的なリスクの高まり、米指標の低迷などに見舞われれば、利上げ先送りの余地を残すことにもなる。

  コーナーストーン・マクロのパートナー、ロバート・ペルリ氏(ワシントン在勤)は「慎重ながらも楽観的な声明だ」とした上で、「これは、当局として9月利上げの可能性に虚心坦懐(たんかい)の姿勢を保つが、はっきりとコミットしているわけではないことを意味する」と解説した。

  26、27両日のFOMCに先だって、6月の米雇用統計で非農業部門雇用者数の伸びが前月から急回復するなど、当局者には朗報が伝えられた。さらに、英国による欧州連合(EU)離脱の選択後に見られた相場下落も秩序だったものだった。

  こうした背景の下、今回の声明に加えられた文言変更の一部は事実を述べるものだった一方、その評価の一部は9月20、21両日の次回FOMCで利上げが議題に上る可能性があるとの印象をエコノミストに与えることとなった。具体的には、「経済見通しへの短期的なリスクは後退した」という部分や、雇用の伸びは「強かった」という解釈だ。

思惑は簡単に外れる

  TDセキュリティーズUSAのグローバル金利戦略責任者、プリヤ・ミスラ氏(ニューヨーク在勤)は「声明の1段落目は状況改善を明白に認めるものだ」とし、「当局者は次の利上げに向けて小さな一歩を踏み出した」と語った。

  ポイント72・アセット・マネジメント(コネティカット州スタンフォード)のチーフエコノミスト、ディーン・マキ氏は「米金融当局のリスク回避姿勢を踏まえれば、9月利上げを促すにはデータがどれも強くなければならない」とコメント。「今年に入って分かったのは、いとも簡単に思惑が外れるということだ」と付け加えた。

  連邦準備制度理事会(FRB)のイエレン議長は8月26日、ワイオミング州ジャクソンホールで開かれるカンザスシティー連銀主催のシンポジウムで講演する予定で、その際に金融当局が何を考えているのか明確にすることができる。

  ノーザン・トラスト(シカゴ)のチーフエコノミスト、カール・タネンボーム氏は「9月について興奮するのに十分かどうか確信できない」と話す。同氏は「次にわくわくして注目するのはジャクソンホールでのイエレン議長の講演だろう。議長が重要発言を望むなら、絶好の機会となる」との見方を示した。

原題:Fed Begins Crawl Toward Rate Hike as Near-Term Risks Diminish(抜粋)

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