アクサが日本不動産ファンドを清算、収益2割超も価格ピーク間近か

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  • 日本のオフィスビルは今は売り手が優位、とアジア部門代表が発言
  • 今年上期の外資系法人の不動産取得額は前年比9割減-民間調査

仏保険大手アクサ傘下の不動産運用会社は、2012年からの運用開始以来、2割以上の収益率を上げた日本の不動産投資ファンドを清算した。足元の日本経済は弱いとみており、新たな不動産ファンドの組成を急ぐ考えはないという。

  アクサ・リアル・エステート・インベストメント・マネジャーズ・シンガポールのアジア部門の代表、フランク・クー氏は東京でのインタビューで、「ことし2月末までにファンド全体を清算した」と述べた。運用規模は約2億ドル。同氏は、「不動産の資産価値と実体経済には若干の乖離(かいり)がある。実体経済は人々が思うほど強くない」とし、今は日本のオフィスビルは売り手が優位との見方を示した。

  超低金利と融資拡大を背景に日本の不動産価格は上がり続け、大和不動産鑑定のデータによると、ことし1-3月期の東京都心部Aクラスビルの床単価は6割以上上昇した。その分、賃料を収益源とする期待利回りは低下し、日本不動産研究所の調査ではAクラスオフィスビルで「丸の内、大手町」は4月現在、3.7%と少なくとも2000年以来最低だった。

  クレディスイス証券の望月政広アナリストと福田靖子アナリストは4日付のリポートで、全国企業短期経済観測調査(日銀短観)で示された不動産業向け貸出態度DIについて「全規模では1989年以来の20ポイントを記録した」とし、不動産価格は高値圏にあるものの、「不動産業向け貸出残高の増加によって価格の上昇が続くだろう」と分析している。

  クー氏は、「市場では資金がまだ潤沢だ」として、不動産価格について「近いうちに調整があるとは思わない」との見方を示した。

外資の取得が急減

  こうした中、海外企業の不動産取得が今年に入り急激に落ち込んでいる。みずほ信託銀行系の都市未来総合研究所の調査では、外資系法人による16年1-6月の不動産取得額(開示・公表ベース)は484億円。前年同期比で86.6%減少し、対前期(15年6-12月)比では89.7%減った。

  同社の主席研究員の平山重雄氏は、外資の不動産取得の減少の背景について「利回りがあまりにも低くなっているので買いに対して慎重になっている。さらに円高で取得が割高になってきていることも影響している」と指摘。「海外の投資家は不動産市況が良くなかった時に取得した物件について、売却益の確定をしようとする動きが出ている」との見方を示した。

  日本の不動産市場はマイナス金利で買い手は恩恵を受けるのにもかかわらず、ファンダメンタルズには変調の兆しが出てきている。不動産経済研究所がまとめた6月の新築マンション発売戸数は7カ月連続のマイナスだった。総合不動産サービスのJLLによると、6月の東京Aグレードオフィスビルの賃料の上昇は6月までの2四半期連続で減速している。

(第5段落を追加して、更新しました.)
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