公的年金がベンチマークはみ出す柔軟な運用を容認-受託者責任を追求

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  • 市町村連合会、募集要項に「通常のパッシブ運用とは異なる」と明記
  • トータルリターンによるパフォーマンス評価が浮上も-みずほ証

マイナス利回りが10年国債にまで広がる中、国内債券をベンチマーク運用する投資家の間で、少しでも利回りの稼げる債券種類への投資拡大など、柔軟な運用を容認する動きが出始めている。年金基金が年金原資を増やそうと必死になっている姿の現れだ。

  全国市町村職員共済組合連合会(12月末の資産約11兆円)は7月、野村BPI(総合)をベンチマークに運用する資金委託先の募集要項に「通常のベンチマーク連動型のパッシブ運用とは異なる」と記載した。複数の関係者によると地方債や政府保証債などの投資割合をベンチマークより増やすことを想定している。

日銀のマイナス金利政策の影響拡大

Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg

  みずほ証券の香月康伸シニアプライマリーアナリストは、「マイナスの金利幅が深まっており、ある程度柔軟な対応が必要となるところが出てくる」と話す。「ベンチマークに対する考え方を変え、トータルリターンでパフォーマンスを見る捉え方が浮上してもおかしくない」と指摘。柔軟な運用スタイルが広がると予想する。

  マイナス金利政策の影響により、野村BPI総合の投資利回りはマイナスに陥っている。高齢化が進み年金支払いの負担が膨らむ年金などの機関投資家は、加入者や受給者など委託者の利益を最優先に職務を遂行する受託者責任を負っている。このため従来の型にはまらない機動的な運用で収益を求める委託先を追求する。

  市町村連合会が目指すポートフォリオは年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)と同じ、国内債券35%、国内株式25%、外国債券、15%、外国株式25%。

ベンチマーク通りの運用

  地方公共団体の発行する債券は日本国債よりも利回りが高く、利回りがプラスのものもある。10年物日本国債の利回りがマイナス0.24%なのに対し、横浜市が発行した10年債の利回りはプラス0.001%ある。京都府の10年債はマイナス0.01%と同年限の国債よりマイナス幅が小さい。

  マネックス証券の大槻奈那チーフアナリストは「保守的な運用しているところであれば、格付けがソブリンに匹敵するようなところが次の候補ではないか」と述べ、地方債が第1候補になるとみている。地方債や政府保証債に次いで、極めて信用力の高い、陸運系や一部を除く電力、ガスなどの社債が考えられるという。

  国民年金基金連合会も4月から国内債券のアクティブ運用ガイドラインを緩和、ヘッジ付外債や物価連動国債なども組み入れ可能にした。業務資産運用部の玉垣智史運用企画室長は「マイナス金利に限度があるにしても、ベンチマーク通りに運用することがいいのかどうか。受託者責任という問題もある」と語った。

  日本国債をメーンに投資してきた国内生保も、新規資金によるマイナス金利の国債への投資を抑制している。利回り確保のため国債より上乗せ金利のある社債や、国内債の代替としてヘッジ付き外国債券、インフラ関連などミドルリスク・ミドルリターン分野を含め投資対象の拡大・分散を図っている。

(第5、最終段落に国内生保の動向などを追加しました.)
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