第一生命:イタリアやスペイン国債に投資、金利残る周縁国へ拡大

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第一生命保険は、第1四半期(4ー6月)にイタリアとスペインの国債に投資した。世界的な低金利の中で、利回り獲得に向けて投資対象を拡大している。日本生命保険もフランスやベルギー債に投資するなど、為替変動のヘッジコストが安く、利回りの残っている欧州債に生保の投資対象が広がっている。

  第一生命外国債券部長の重本和之氏は、ユーロ圏の投資対象について「主要国は金利が無い状態なので周縁国となる」とし、イタリアとスペインの国債を「スプレッド(上乗せ金利)の開いたところで購入した」という。欧州連合(EU)残留か離脱かを問う英国民投票が行われた6月23日時点では、イタリアとスペインの10年債利回りは1.4%近辺で推移し、ユーロ圏の中核国であるドイツ0.09%、フランス0.45%を上回った。

  日本同様にマイナス金利政策を採用しているユーロ圏諸国は金利が低い分、日欧の短期金利差で決まる為替のヘッジコストは安く、第一生命のほか日本生命も欧州債を購入。一方、ヘッジコストの高い米国については、米国債への投資妙味が薄れており、モーゲージ債やスプレッドの取れる社債などを模索する生保が多い。

  日本国債の利回りは年限15年以下はマイナス圏に沈んでおり、重本氏は「マイナス金利の国債を買う選択はなかなかできない」と話す。株式も相場次第では投資するが、リスクの高い株式の残高を大きく増やすことは難しく「外債が選択されやすい」という。今年4月からこれまで投資したのはほとんどが為替リスクをヘッジした外国債券。

日本と欧州各国の国債利回り比較

  もっともEU離脱を選択した英国民投票の結果を受けて、それ以降は質への逃避から欧州債は買われ、利回りが低下。今月21日時点でイタリアの10年国債は1.24%、スペインは1.12%となっている。重本氏は、今後の両国への投資については「金利が下がっており、リスクに見合っているのか議論している」と話しており、「マーケットのタイミングをみながら金利上昇局面やスプレッド拡大局面で投資するスタンスを取らざるを得ない」と語る。

  一方、為替リスクをヘッジしないオープン外債については、1ドル=100円に近づくなど円高が進行した時点で一部投資したが、インタビューが行われた21日午前時点は同107円台であり、「100―110円の見通しのなかでオープン外債は投資しにくい」と言う。同社の投資は中長期的に保有するのが基本。ただ、ボラティリティが上昇しており、「とくに新興国の為替オープンについては、ある程度、機動的に利益が出たら確定する姿勢を取らざるを得ない」と話す。

  金利が低下しヘッジコストも上昇している米国の債券では、ジニーメイ、ファニーメイ、フレディーマックなどのモーゲージ債や社債の直接投資に取り組んでいる。ただ、クレジット商品のサイクルは、政策金利が引き上げられてしばらくすると、企業の負債調達コストが膨らみ、業績に下押し圧力が掛かることでスプレッドが開く。

  重本氏は「ここからさらに購入すると、1-2年後に減価する時期が来るため慎重に投資する」と述べ、今後のスプレッド拡大によりクレジット商品の価値が下落する可能性を視野に入れて対応する考えを示した。

(第7、第8段落を追加しました.)
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