【債券週間展望】長期金利低下か、ヘリマネ懸念後退で円高・平たん化

  • 真水増額や金融政策枠組み変更なければ金利上昇せず-三井住友AM
  • 財政面の景気対策を警戒、長期・超長期国債は上値の重さも-岡三証

来週の債券市場では長期金利の低下が予想されている。ヘリコプターマネー政策への懸念が後退する中、日本銀行の金融政策決定会合では市場にサプライズとなる追加緩和策は期待しづらくなっており、円高進行とイールドカーブのフラット(平たん)化を予想する見方が出ている。

  長期金利の指標となる新発10年物国債利回りは今週、マイナス0.24%からマイナス0.23%を中心に推移した。21日に新発20年物や30年物の超長期国債利回りが英国の欧州連合(EU)離脱決定前の水準まで上昇する場面では、つられてマイナス0.22%と1日以来の水準を付けた。黒田東彦日銀総裁のヘリマネ否定発言報道を受けて超長期債が買い戻されると再びマイナス0.24%まで低下したが、その後マイナス0.225%に戻している。

  パインブリッジ・インベストメンツ債券運用部の松川忠部長は、「BOE(イングランド銀行)もECB(欧州中央銀行)も緩和を見送る中、日銀だけが強力な追加緩和を打ち出す可能性は低いだろう。市場の反応は円高とイールドカーブのフラットニングが基本シナリオ。中期ゾーンは追加緩和を相当織り込んでいる一方、超長期ゾーンはヘリコプターマネー懸念で売られてきたが、巻き戻されるイメージだ」と言う。

  日銀は28、29日に金融政策決定会合を開き、結果発表時に経済・物価情勢の展望(展望リポート)を公表。黒田総裁が記者会見する。政府の大型景気対策の観測が強まる中、量・質・金利の3次元の追加緩和を予想する声もあるが、緩和手段は見方が分かれている。また、異次元緩和の持続可能性に懸念も高まりやすく、市場の反応には不透明感もある。

  三井住友アセットマネジメントの深代潤債券運用グループ理事兼副ヘッドは、「日銀会合を控えてリスクが取れる環境でもないので相場はもみ合いか」と指摘。「経済対策期待から増発懸念が多少盛り上がっていたが、真水ではそれほど出ない見通し。需給逼迫(ひっぱく)は変わらない。真水増額や金融政策の枠組み変更がなければ、金利は上昇しないだろう」との見方を示した。

  一方、岡三証券の鈴木誠債券シニアストラテジストは、「財政面からの景気対策が警戒されることで、長期・超長期国債を中心に上値の重い展開は続く」とみており、「スティープニングが進んだ分の戻しはあるだろうが、限界もある」と言う。

  財務省は26日に40年債入札を実施する。利回り競争入札によるダッチ方式となり、応札は0.5ベーシスポイント(bp)刻みで行う。前回9回債のリオープン発行となり、表面利率は0.4%に据え置かれる見込み。発行予定額は前回と同額の4000億円程度。28日には2年債入札が予定されている。表面利率は据え置きの0.1%が見込まれている。発行額は前回と同額の2兆3000億円程度となる。

  メリルリンチ日本証券の大崎秀一チーフ金利ストラテジストは、「40年債入札はダッチ方式ではあるが、現行の金利よりも高めに流れる可能性もあり不確実要因」と指摘。29日に発表される当面の日銀買い入れ額について、「日銀会合内でも指摘される柔軟化は超長期セクターの買い入れ減と同義。国債買い入れに対する日銀の方向性が見えない中、再来週以降の材料として超長期債のボラティリティが高まる要因」とみている。

市場関係者の見方
*T
◎パインブリッジ・インベストメンツ債券運用部の松川忠部長
*日銀はマイナス金利政策で失敗している上、ETF買い入れ増額だけでは金融政策と言えず、量の面でも財投債の買い入れなどを出してくるかもしれない
*円・ドル相場は105円では止まらず、102円程度まで上昇するかもしれない
*長期金利の予想レンジはマイナス0.30%~マイナス0.15%

◎三井住友アセットマネジメントの深代潤債券運用グループ理事兼副ヘッド
*債券市場は冷静で、月末の追加緩和期待も過度に織り込むことはない状況
*日銀会合まで身動きが取れない半面、売りも出ない
*長期金利の予想レンジはマイナス0.27%~マイナス0.20%

◎岡三証券の鈴木誠債券シニアストラテジスト
*日銀会合はマイナス金利政策の小幅拡大やETF買い入れ増額などが決定されよう
*40年債の入札も相場の上値を抑える要因
*長期金利の予想レンジはマイナス0.25%~マイナス0.20%

◎メリルリンチ日本証券の大崎秀一チーフ金利ストラテジスト
*ヘリコプタマネーへの思惑でスティープニング圧力が加わってきたが、織り込み過ぎている感もあり、やや修正する可能性
*財政政策をサポートする意味合いでETFなどの買い入れ増額を想定。国債以外の債券の買い入れの可能性も排除できない
*長期金利の予想レンジはマイナス0.30%~マイナス0.15%
*T

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中
    LEARN MORE