米国債:TIPS入札が好調、低インフレ観測が外れた場合に備え

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21日の米国債市場ではインフレ連動国債(TIPS)入札が注目された。市場ベースの指標は物価が数年にわたり低位にとどまることを示唆しているが、入札が2015年3月以来の高い需要を集めたのは、インフレ見通しが外れた場合の保険を求められていることをうかがわせる。

  財務省によると、10年物TIPS入札(規模130億ドル)では最高落札利回りが0.045%と、13年5月以来の低水準。投資家の需要を測る指標の応札倍率は1年4カ月ぶりの高水準となった。投資家からの強い需要を示す別の指標としては、入札への参加が義務づけられているプライマリー ディーラー(政府証券公認ディーラー)の落札全体に占める割合が23.9%と、過去2番目の低水準となった。

  インフレ期待は急低下しており、米連邦準備制度理事会(FRB)の指標は今月、少なくとも1999年以降で最低を記録。シティグループの米経済サプライズ指数が今月、2015年1月以来の水準に上昇したものの、インフレ期待はほとんど変わっていない。インフレを抑制する海外要因と利上げを後押しする米国内の景気拡大との綱引きは、TIPS入札でも展開されている。

  ストーン・アンド・マッカーシー・リサーチ・アソシエーツの債券 アナリスト、ジョン・キャナバン氏は「市場参加者は明らかにインフレ懸念をほとんど示唆しない利回りを積極的に許容していたが、同時にTIPSへの全般的な需要増は多少のヘッジを望んでいることを示唆している」と述べた。

  10年物TIPSと通常の10年債の利回り差は1.46ポイントに縮小、今月11日以降の最小となった。

  ブルームバーグ・ボンド・トレーダーによれば、ニューヨーク時間午後5時現在、10年債利回りは前日比2ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低下の1.56%。同年債(表面利率1.625%、償還2026年5月)価格は100 20/32。

  FTNファイナンシャルの金利戦略責任者、ジム・ボーゲル氏は利回りがゼロをやや上回る水準にあるため、TIPS入札はインフレを加味した場合の国債利払いに対して投資家がいかに期待していないかを示していると指摘。「TIPSはあらゆる市場における実質金利を最も反映している。特に金融政策の見通しを考慮した上で、市場参加者が期待するインフレ調整後のリターンを示唆していると言える」と語った。

  金利先物市場が示唆する年末までの利上げ確率は47%と、欧州連合(EU)からの離脱を問う6月23日の英国民投票前とほぼ同水準にある。

原題:Bond Buyers Grab Inflation Protection as Auction Shelves Dealers(抜粋)

(第3段落と第7段落以降を追加し、更新します.)
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