警告の赤い旗は振られていた-インサイダー疑惑で清算決めたビジウム

  • 旗艦ファンドから不振の債券ファンドに資金が投じられたと関係者
  • ビジウムはファンド清算に伴い、10月以降にニューヨークで33人削減

ジェーコブ・ゴットリーブ氏が創業したビジウム・アセット・マネジメントは、運営するヘッジファンドが全体で80億ドル(約8500億円)相当の資産を管理・運用していた時期もあったが、ファンドは清算されることが決まった。しかし危険を警告する信号は、実際にはずっと前から発せられていた。

  ビジウムは設立後の早い段階で、ゴットリーブ氏の弟をコンプライアンス(法令順守)責任者として採用しており、利益相反の疑いがあった。ゴットリーブ氏自身も、同社のヘッジファンドが投資する企業の株式を保有していたことがある。2013年初めには苦境に陥ったクレジットチームに中核のヘルスケアファンドから資金が投入されたものの、チームが運用する債券ファンドは結局閉鎖に追い込まれた。

ジェーコブ・ゴットリーブ氏

Photographer: Jacob Kepler/Bloomberg

  ビジウムという会社が、厳しく報酬を制限するなど安上がりでコンプライアンスを欠く経営の上に築かれていた様子が、十数人の投資家や元社員の取材で明らかになった。大手と肩を並べるヘッジファンド運営会社を築き上げたいという野心がゴットリーブ氏にはあった。だが3人の元トレーダーが証券詐欺で米連邦検察当局から刑事責任を追及される事態となり、ビジウムは運営するほぼ全てのファンドの清算を先月決定した。

「聞いていない」は通用せず

  ボストン大学法科大学のタマー・フランケル教授は、ビジウムもゴットリーブ氏も不正行為の責任を問われていないとしても、一連の疑惑は監督について疑念を生じさせると指摘した。

  信託法が専門のフランケル教授は「投資アドバイザーが『見てない』とか『聞いていない』と言うことはあり得ない。マネジメントに関する限り、知っておく義務がある」との見方を示す。

  ビジウムの外部広報を担当するジョナサン・ガスサルター氏によれば、ビジウムとゴットリーブ氏は、この記事についてコメントを控えている。特定の証券取引と証券の評価をめぐり調査対象になっている事実を今年3月に初めて公表した際、同社は当局に協力していると説明する一方、「最も高度な倫理的行動」を全ての社員に期待するとコメントしていた。

  米当局は食品医薬品局(FDA)元当局者から得た内部情報に基づくインサイダー取引に関与した疑いで、ビジウムを代表するヘルスケアファンドの花形運用担当者だったサンジェイ・バルバニ容疑者を先月15日に逮捕した。同容疑者は無罪を主張した5日後に自ら命を絶った。

  ビジウムはファンドの清算に伴い、ニューヨークで10月以降に33人を削減する予定であることを19日明らかにした。

原題:At Visium, Red Flags Presaged Downfall of $8 Billion Firm (1)(抜粋)

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