都知事選終盤へ、自民分裂、野党統一候補で事実上三つどもえの構図

  • 国家予算並みの財政規模、待機児童・五輪予算など課題山積
  • 4年足らずで3度目の知事選、「政治とカネ」で猪瀬、舛添両氏辞職

舛添要一前知事の辞職に伴う東京都知事選は31日の投票日に向け17日間の選挙戦の後半戦に入る。事実上の分裂選挙となった与党側に対し、民進、共産など4野党は参院選に続いて統一候補を支援する構図で、中央政界の動きも絡みながら、終盤に向けて戦いは激しさを増している。

  人口約1300万人を抱える首都東京。2016年度予算は13兆円を超える規模で、候補者たちも「スウェーデンの国家予算並み」と口をそろえてその権限、影響力の大きさを語る。多くの地方自治体が財政難に直面する中、都税収入の伸びは堅調で、今年度予算は一般会計としては23年ぶりに7兆円を超えた。

  都政の課題は山積している。高齢化に伴う医療・介護費の増大や、8000人を超える待機児童の解消に向けた保育施設の整備など子育て環境の充実策の遅れ。4年後に迫った東京五輪・パラリンピックに関しては、施設整備などにかかる費用を、都がどの程度負担するのかはいまだ不透明だ。

自公推薦の増田氏

  「今回は出たい人よりも、私たちが出したいと考えるこの増田さんです」-。自民党東京都連会長の石原伸晃氏は18日、休日で賑(にぎ)わう銀座の真ん中でマイクを握った。

  12年に伸晃氏の父、石原慎太郎氏が衆院選出馬のため任期途中で辞任して以降、4年足らずの間で3度目の知事選。猪瀬直樹氏に続いて、自民、公明両党が推した舛添氏の「政治とカネ」の問題による辞任劇を受けた選挙で、今回は元総務相で岩手県知事を3期務めた増田寛也氏(64)を擁立した。

  石原氏は、首都直下地震など災害への備えの重要性を強調し「行政経験のある、よく分かっている方にお任せしておけば安心して暮らしていける」などとアピールした。増田氏の周りには、自民党の議員らが集まり、皆、大きく「増田」と書かれた選挙ビラを掲げて町を練り歩く。街頭で繰り返すのは、「人気投票ではない」「劇場型選挙はやめよう」との言葉だ。

  増田氏自身は、街頭演説の中で「どうやってこの東京をよくしていくのか、この点を他の候補者たちと競い合いたい」と行政経験と自身の政策に自信をのぞかせる。また待機児童問題など都政の課題については、都内の自治体との連携を重視する方針を示した上で「区長さんから皆さんご推薦をいただいた」と支援体制の強固さを強調する。

野党統一候補、鳥越氏

  野党統一候補として選挙に臨んでいるのがジャーナリストの鳥越俊太郎氏(76)。公示2日前の出馬表明を受け、民進、共産、社民、生活の野党4党が支援で一致した。街頭演説でも、民進、共産の党幹部らが並んで応援する場面が目立つ。

  16日の街頭演説で民進党の長妻昭代表代行は都知事を「総理大臣に次ぐある意味ではナンバー2の政治家」と評し、国政が「おかしな方向に行く時は歯止めをかける役割を果たしてほしい」と言及。続いてマイクを握った共産党の小池晃書記局長は「参院選でも進んだ野党の共闘を都知事選挙でさらに発展させる、そういう選挙にしていきたい」と気勢を上げた。

  鳥越氏も、街頭では安保法制や憲法、原発の問題に触れることが多く「国政のことばかり言うなとお叱りを受けるが、国政の一番近くにあるのは東京都。東京都政を変えてこそ、日本も変わる」と演説で呼び掛ける。猪瀬氏、舛添氏の施政を「混迷の都政」と表現し、その後の知事は「都民の発する声に耳を傾ける、聞く耳を持っているかが分かれ目だ」と強調する。

政党推薦なしの小池氏

  「あさかぜをうちにも貸してくれればいいのに…」増田氏支援をスピーカーで呼びかける自民党の広報宣伝車・あさかぜ号の姿を見ると、元防衛相の小池百合子氏(64)の陣営にいた自民党区議からこんな言葉が漏れた。

  今回、党の推薦なしで選挙を戦う小池氏。当初から小池氏支援を表明している自民党の若狭勝衆院議員は、街頭演説の中で、党都連が非推薦の候補を応援した場合に親族を含めて処分する旨の文書が配布されたことに触れ、「除名がどうのこうのと言われているが、そういうものには一切耳を傾けず、信念に基づいて今ここに立っている」と発言。小池氏の地元豊島区、練馬区の自民党区議らのほか、無所属の都議も支援に回っているほか、小池氏と親交のあるアルピニストの野口健氏らも選挙カーに登壇する。
 
  小池氏自身も、19日の街頭演説では「都政も、都知事も政党の一部が決めるのではない」と指摘した上で「議会のドン、ボスが勝手なことをするような都議会ではだめだ」と都連や都議会との対決姿勢を鮮明にしている。今回の選挙戦については「たった一人で始めた」としながらも「仲間が毎日のようにどんどん増えてきている」と手応えを語った。

  都知事選には、21人が立候補している。共同通信社が17日に配信した序盤情勢調査によると、小池、鳥越両氏が競り合い、増田氏が追う展開になっている。約4割は投票先を決めておらず、今後の情勢は変化する可能性があるとも報じている。

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