超長期債が下落、リスク選好や景気対策警戒で-日銀オペ後に一段安

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  • 財政・金融政策に不透明感、押し目買い入れにくい-メリル日本証
  • 追加緩和と大型景気対策がセットのシナリオ連想も-三菱モルガン

債券市場では超長期債相場が下落。世界的なリスク選好の流れや政府の大型景気対策の観測を背景に、利回り曲線のスティープ(傾斜)化が続いた。日本銀行が超長期ゾーンの買い入れオペを実施したが、利回りは上昇幅を拡大した。

  21日の現物債市場で新発20年物の157回債利回りは日本相互証券が公表した前日午後3時時点の参照値より3.5ベーシスポイント(bp)高い0.18%と、6月24日以来の水準まで売られた。新発30年物の51回債利回りは3bp高い0.235%で推移した後、午後に6月22日以来の高水準となる0.265%まで急上昇した。長期金利の指標となる新発10年物の343回債利回りは1bp高いマイナス0.235%を中心に推移した。

  メリルリンチ日本証券の大崎秀一チーフ金利ストラテジストは、「株高、債券安、円安と、海外市場からリスク選好の流れ。財政・金融政策に不透明感が強く、ボラティリティの影響で超長期ゾーンは利回りが上昇しても押し目買いを入れにくい。若干短期化する動きもあるのではないか。あえてデュレーションリスクを取る環境ではない」と指摘した。

  長期国債先物市場の中心限月9月物は、前日比5銭安の153円23銭で取引を始め、前日の米債反落の流れを受けて153円14銭まで下落した。その後、日銀の買い入れオペ結果で需給の引き締まりが示されたことで一時3銭高の153円31銭を付けたが、取引終了にかけて再び売りが優勢になり、結局8銭安の153円20銭で引けた。

  20日の米10年物国債利回りが1.58%程度まで売られる一方、米株式相場は上昇して主要指数が過去最高値を更新した。この日の東京株式相場は、1ドル=107円台までの円安進行や政府の政策期待を背景に日経平均株価が一時250円を超す上昇となった。

20兆円超の経済対策報道

  共同通信は21日、政府が経済対策の事業費を20兆円超とする方向で調整していることが分かったと報じた。当初想定した10兆円から拡大するのは、2017年度以降の事業も盛り込んだ上、財政投融資を6兆円増やす影響が大きいとしている。メリルリンチ日本証券の大崎氏は、「財政拡大でも市中国債発行が膨らむ可能性は低いがゼロではない」と言う。

  三井住友銀行の宇野大介チーフストラテジストは、「英国の欧州連合(EU)離脱後の円安・株高で国債には逆風。日銀金融政策は何もしないで良いと思っていたが、対策増額で一切合切やるともみえる。日銀が今回の補正予算で債券を引き受ければ財政規律が緩み、円資産減価につながるトリプル安になる可能性がある。金利は低下余地を模索していたので調整している」と話した。

  また、三菱UFJモルガン・スタンレー証券の稲留克俊シニア債券ストラテジストは、「ここにきて経済対策の議論が本格化・活発化している様子をみると、来週末にかけて日銀・追加緩和と大型景気対策がセットで示されるシナリオが連想される」として、「最近の債券市場では財政・金融政策協調発動は、財政規律への懸念という側面等から売り材料としてとらえられることが多いようにみえる」と指摘している。

日銀の国債買い入れ

  日銀が実施した今月8回目となる長期国債の買い入れオペの結果によると、残存期間「1年超3年以下」と「3年超5年以下」、「10年超25年以下」の応札倍率が前回から低下した一方、「25年超」の倍率は3倍台に上昇した。

  新発5年物の128回債利回りは1bp低下のマイナス0.34%まで買われた後、横ばいのマイナス0.33%に戻している。新発2年物の366回債利回りは0.5bp低いマイナス0.335%を付けた後、マイナス0.33%で推移している。

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