オリンパス笹社長:M&Aで成長狙う-粉飾決算発覚から5年

  • 「シナジーが生まれるようなターゲットになる」-社長
  • 前期比4割増となる1兆1000億円の売上高を目指す-中期経営計画

世界的スキャンダルとなったオリンパスの粉飾決算の発覚から5年が経過した。経営改革を経て収益は回復し、株価は一時、スキャンダルで下落した水準のほぼ10倍となった。安定期に入ったオリンパスは、成長源を合併・買収(M&A)に求めようとしている。

  オリンパスの既存の事業分野か関連分野で買収の可能性があると、笹宏行社長はブルームバーグの取材に話した。詳細は明らかにしなかったが、「何らかのアドバンテージをわれわれが持っていて、シナジーが生まれてくるようなターゲットになる」という。

  粉飾決算事件の影響により会社存続まで危ぶまれたオリンパスだが、不採算事業の整理や訴訟対応も一段落し、前期(2016年3月期)は過去最高の純利益を計上した。12年から社長として同社を率いる笹氏は、成長という次のステージに挑むことになる。3月に発表した中期経営計画によれば、今の利益率水準を維持した上で21年3月期に前期比4割増となる1兆1000億円の売上高を目指す。

  立花証券の福永幸彦アナリストは、オリンパスには「成長戦略に向けた投資が必要」だと述べた。買収先としては、オリンパスの事業とシナジー効果があり、オリンパスが「中身を分かっている会社がよい」と話した。

医療事業がけん引

  収益の伸びをけん引するのは、内視鏡など医療事業となる。笹氏は、医療事業をドライバーとして、専門家に対して強みを持つ会社になることを目指すと述べた。また前期まで6期連続の赤字を計上し、今期も利益ゼロを予想するカメラなど映像事業については「ようやく黒字化が見えたポジションになる」と説明。カメラで培った技術が医療に生かされるため「やめる気はまったくありません」と話した。

  オリンパスは11年、企業買収などの際の資金1348億円を使って1990年代からの財テク失敗で抱えた損失を穴埋めしたことが発覚した。長年、株式市場を欺いていたことが問題視され、上場維持も危ぶまれた。決算修正により自己資本比率は2.2%まで低下した。社内風土の改善のため、社外取締役を過半数とするなどの改革を実施。自己資本比率向上のためソニーから出資を受けたほか、公募増資もした。

  笹氏は中期経営計画を発表したことを受け、「これからを本気で考えられるようになったというのは一歩前進だ」と述べた。ただ、「経営の努力に終わりはない」として、社員や取締役の法令順守意識を高め活気を持って働けるようにすることが「経営の仕事」だと話した。

耐性菌

  笹氏の計画には、障害もある。昨年、米の複数の病院からオリンパスを含むメーカーの内視鏡洗浄に関連し、薬剤耐性菌「スーパーバグ」が発生したと報告があった。オリンパスによれば、約20件の関連する訴訟が係争中だ。オリンパスは問題を深刻に受け止めており、米食品医薬品局(FDA)と解決へ向けて努力していると電子メールで回答した。

  笹氏は「その複雑な構造ゆえ、洗いやすいかといったら、決してそうではないですし、消毒しやすいかというと決してそうではないと認識しています」と述べ、洗浄と消毒、無菌化の重要性を強調。オリンパスは、使用説明書の改訂や訓練の提供を続けると述べた。内視鏡のデザインに問題があったとは考えていないと話した。

  立花証券の福永アナリストは、薬剤耐性菌の問題については「そこまで悲観していない。一段落した」と述べた。

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