ソフバンク債は「フォースの声」で買い時と孫社長、市場は納得せず

更新日時
  • ドル建てソフバンク債の利回りは買収発表の18日、30bp急上昇
  • 「リスク高いと今まで以上に認識の必要」と朝日ライフAMの中谷氏

英半導体設計会社のARMホールディングスを約240億ポンド(約3兆3000億円)で買収することになったソフトバンク。孫正義社長は、フォースの声に耳を傾ければソフトバンク債は今こそ買い時と強調してみせたが、市場関係者を納得させるには至っていない。

  ブルームバーグのデータによると、ドル建てのソフトバンク債(表面利率5.375%)の利回りは買収を発表した18日、30ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇して4.35%となった。上昇幅は昨年7月に発行以来、最大。

  ソフトバンクにとって英ARM買収は2013年の米スプリント買収(約1兆8000億円)を上回る過去最大の買収案件となる。孫社長は、買収に関する電話会見で「社債投資家ならば弊社債は最高の買い時だ」と英語で発言。「スターウォーズのヨーダが言ったように、フォースの声に耳を傾ければ、社債投資するには最適の会社だと分かる」と強調した。

ヨーダのマスクをかぶるスターウォーズファン

Wars: The Force Awakens" at a Vue Entertainment Ltd. cinema in London, U.K., on Wednesday, Dec. 16, 2015.

  朝日ライフアセットマネジメントの中谷吉宏シニアファンドマネジャーは、今回の大型買収で「社債投資家は少なくとも信用リスクという面で、よりリスクが高いと今まで以上に認識しないといけなくなる」と話す。19日以降、社債スプレッド(上乗せ金利)は「ワイド化するだろう」とみており、どこまで拡大するかは英ARMの事業リスクや財務状況を見極めないと分からないと言う。

格付け

  日本格付研究所(JCR)は19日、ソフトバンクの格付けを「ネガティブ」方向で見直すと発表した。同社による格付けはAマイナス(投資適格で上から第7位)。JCRは、同社は投資資産売却により財務改善が進んでいたものの、今回の買収で財務指標の悪化も見込まれるとしている。

  ムーディーズ・インベスターズ・サービスはBa1、スタンダード・アンド・プアーズはBBプラスといずれも投機的等級となっている。

  BNPパリバ証券の中空麻奈チーフクレジットアナリストは、スプレッドの乗ったソフトバンク債を薦めてきたが、その考えに変わりはないと話す。ただ、格付け会社による格下げなどもあり得るので、社債購入には注意が必要だと言う。買収先の英ARMが期待されるほど成長できるかどうかも課題だとしている。

  ソフトバンクは今回の買収により、さまざまな機器をインターネットでつなぐIoT技術の世界的な有力企業を傘下に納める。一方、ARMは1990年10月に英ケンブリッジに設立された。同社の製品・技術は、スマートフォンの95%、デジタルカメラの80%、全ての電子機器の35%で使用されている。社員は英国中心に約2200人以上在籍している。

  発表文書によると、ARMの1株当たりの取得額は1700ペンス。これは15日の株価終値1189ペンスに約43%上乗せした水準で株式14億1200万株を取得する計画。

(第2、5、6段落を追加しました.)
    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中
    LEARN MORE