コンテンツにスキップする
Subscriber Only

ソフトバンクが英半導体設計会社ARM買収に3兆円余り支払う理由

  • ARMのチップはアップルやサムスンのスマホに使用されている
  • 孫正義社長はIoT機器にARMの将来を見据える

ほとんど全てのスマートフォンやタブレット、電子書籍端末、スマートウオッチには、指示を送る小さなマイクロプロセッサーが内蔵されている。ソフトバンクグループが243億ポンド(約3兆3000億円)の買収で合意した英ARMホールディングスは、こうした半導体の設計で世界最大手だ。

  英ケンブリッジで1990年に設立されたARMは現在、4000人を雇用しており、重点を置くのは小型で低出力の機器向け。一方、半導体業界の巨人、米インテルはデスクトップ・ノートのパソコン(PC)用の半導体でリードする。

  携帯電話の急速な普及を背景に、市場はARMに有利に動いている。現在では世界のスマホの95%以上に内蔵される半導体はARMの設計で、米アップルの「iPhone(アイフォーン)」や韓国のサムスン電子が製造する「ギャラクシー」はどれもそうだ。ARMの売り上げの推定45%はスマホ向けが占める。テレビや医療機器、自動車、インターネット接続家電もARMの設計を使っている。

SoftBank Group Corp. To Buy Britain's ARM Holdings Plc For $32 Billion In Record Deal

ロンドンでの会見で話す孫社長

Photographer: Chris Ratcliffe/Bloomberg

  ソフトバンクがARMに巨額買収案を提示するに至ったのは、同社の半導体の普及ぶりと関連特許ポートフォリオが要因だ。しかし、インテルとは異なり、ARMは実際には半導体を製造しない。その代わり、製造に必要な工場を持つサムスン電子などの企業に設計の使用許可を与えてライセンス使用料を徴収している。こうしたビジネス戦略は非常に利益が上がり、工場建設などの高いコストを払わずに済む。

  ARMが公表した2015年の年次報告書によると、同社の顧客が同年に出荷したARMチップ内蔵製品は約150億個。顧客の内訳はアジアが約52%、米国が38%、欧州が9%、英国は1%。15年の利益は3億3970万ポンド、売上高は9億6830万ポンド。昨年の研究開発費は2億8500万ポンドだった。
 
  ソフトバンクの孫正義社長は、街灯やエアコン、洗濯機、ドローンなどインターネットでつながるさまざまなインターネット・オブ・シングス(IoT)機器にARMの将来を見据えている。

  孫社長はロンドンで18日開いた記者会見で、IoTが全人類と消費者向けの全ての製品分野に極めて大きな機会をもたらすと指摘。最大級のパラダイムシフトが来ているとも述べ、ソフトバンクはIoTから利益を得る方法としてARMに注目していると説明。インターネットが半導体を内蔵するあらゆるものを相互接続することになり、どんな家電や自動車、社会インフラもすべてつながるようになるとの見通しを示した。
  
原題:Why SoftBank Is Spending $32 Billion on U.K. Chip Designer ARM(抜粋)

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中 LEARN MORE