ソフトバンクグループは18日、英半導体設計会社のARMホールディングスの全株式を現金で取得することで合意したと発表した。総額は約240億ポンド(約3兆3000億円)となる。ソフトバンクはこの買収により、さまざまな機器をインターネットでつなぐIoT技術の世界的な有力企業を傘下に納める。

  発表文書によると、ARMの1株当たりの取得額は1700ペンス。これは15日の株価終値1189ペンスに約43%上乗せした水準で株式14億1200万株を取得する計画。

Masayoshi Son
Masayoshi Son
Photographer: Tomohiro Ohsumi/Bloomberg

  ソフトバンクにとって今回は2013年の米スプリント買収(約1兆8000億円)を上回る過去最大の買収案件。IoTに秀でた世界的企業を傘下に納め、ARMの次の技術革新を引き起こすための投資を拡大する。また、同社が保有する専門知識や世界的なネットワークで、ARMの知的所有権を市場に浸透させることができるとしている。

  孫正義社長は買収について「IoTがもたらす重要なチャンスをつかむことにある」とし、ARMがソフトバンクの戦略で重要な役割を果たすことになると、発表文書で表明した。その上で今後5年間でARM従業員を少なくとも倍増させる考えを示した。

ソフトバンクからアプローチ

  ARMのウェブサイトによると、同社は1990年10月に英ケンブリッジに設立された。同社の製品・技術は、スマートフォンの95%、デジタルカメラの80%、全ての電子機器の35%で使用されている。社員は英国中心に約2200人以上在籍している。

  事情に詳しい関係者2人が匿名で語ったところによると、買収はソフトバンク側からの働き掛けだったという。英国の国民投票で欧州連合(EU)離脱が支持されて以降、英ポンドの対円相場は下落しているが、ソフトバンクはその前から買収を検討していたという。 

  ARMの取締役はすでに同社の株主に買収を推奨することで全会一致しているとしているが、買収にはARMの株主と英国裁判所の承認が必要となる。また、ソフトバンクは買収資金調達にあたり、みずほ銀行とブリッジローンとして最大1兆円の借入契約を締結。残額は手元資金で賄うとした。買収は9月末までに完了する見込みだとしている。

  エース経済研究所の安田秀樹アナリストは、正式発表前の取材で、いろいろなモノがインターネットにつながるようになると「ますますARM製品が使われるようになる」と指摘。「孫正義社長は独占率と利益率が高いことと、成長性を評価し、買収を決めたのだろう。アリババとスーパーセル株式の売却は、この買収の準備だったと考えるのが妥当だ」と述べた。

  バリューサーチ投資顧問の松野実社長は、「スマホやネット関連で親和性やシナジー効果が期待できるとみたのではないか」とコメント。米携帯電話会社スプリント買収に続く大型買収で、既に有利子負債が高水準にある点には懸念を示した。

  ソフトバンクの15日の株価終値は、前日比0.2%高の6007円だった。

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