債券下落、円安やヘリコプターマネーめぐる議論警戒-超長期債に売り

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  • 新発20年債利回り0.135%、新発30年債利回り0.185%まで上昇
  • 短期筋はヘリコプターマネー議論をはやし立てている部分も-岡三証

債券相場は下落。外国為替市場での円安進行に加えて、政府・日銀によるヘリコプターマネー政策をめぐる議論に対する警戒感から、超長期ゾーンを中心に売りが優勢となった。

  15日の長期国債先物市場で中心限月9月物は、前日比1銭安の153円45銭で取引を開始し、いったん4銭高まで上昇したが、すぐに下げた。午後に入ると下げ幅を拡大し、一時は47銭安の152円99銭と約2週間ぶりに153円割れとなった。結局は36銭安の153円10銭で引けた。

  岡三証券の鈴木誠債券シニアストラテジストは、「世界的に政策期待から楽観的な見方が広がっており、そこにヘリコプターマネーの話も加わり、円安進行や株高が進みやすくなっている」と話した。「ここまで円安が進むと思わなかったが、短期筋はヘリコプターマネー議論をはやし立てている部分もあるのではないか。アベノミクスがどう巻き返すか、バーナンキ前議長の来日で思惑も浮上し、景気を支える政策に国債増発など、思惑が働きやすく債券にはマイナスの状況だ」と述べた。

  現物債市場で長期金利の指標となる新発10年物国債の343回債利回りは、日本相互証券が公表した前日午後3時時点の参照値と横ばいのマイナス0.265%で開始し、一時は4ベーシスポイント(bp)高いマイナス0.225%と1日以来の高水準を付けた。新発20年物の157回債利回りは5bp高い0.135%、新発30年物の51回債利回りは4.5bp高い0.185%と、ともに6月24日以来の高水準を付けた。

  パインブリッジ・インベストメンツ債券運用部の松川忠部長は、「イングランド銀行の利下げがなかったことは若干ネガティブな影響がある。ヘリコプターマネーの話で売られている面もある。財政出動と金融政策に絡んで、海外勢を中心に動いている面があり、昨日引け際に下げた流れ」と説明した。

ヘリコプターマネー

  安倍晋三首相と今週、官邸で会談したベン・バーナンキ前米連邦準備制度理事会(FRB)議長が、今春に訪米した前内閣官房参与の本田悦朗氏との間で、永久国債発行のアイデアを議論していたことが分かった、とブルームバーグが14日に報じた。デフレ克服の最も強力な手段として比喩的に「ヘリコプターマネー」に言及し、政府が市場性のない永久国債を発行、これを日銀が直接全額引き受ける手法を挙げたとしている。

  JPモルガン証券の山脇貴史チーフ債券ストラテジストは、「財政政策を伴わない日銀の永久国債の直接引き受けは、相当額を実施しない限りマクロ経済へのインパクトは限られる」とリポートで指摘した。「日銀券残高を超える引き受けは日銀のバランスシート政策に影響する」とし、「不安を煽って短期的に円安誘導するだけの政策」との見方を示した。

  岡三証の鈴木氏は、「超長期ゾーンは達成感が出た後でもあるが、超長期ゾーンだけが思いっきり売られているわけでもない。前日の5年債入札がやや低調で、ヘリコプターマネーの話と絡むかもしれないが、海外投資家の中短期債買いがやや落ち着いている、あるいは売っているかも、といった思惑を呼びやすい」と話した。

  14日の米国債相場は下落。米10年物国債利回りは前日比6bp上昇の1.54%程度で終えた。イングランド銀行(英中央銀行)が政策金利の据え置きを発表したことを受けて欧州債が下落したことが売り手掛かりとなった。一方、この日の東京外為市場では円が下落。対ドルで一時1ドル=106円台まで円安・ドル高が進んだ。東京株式相場は上昇し、日経平均株価は前日比0.7%高の1万6497円85銭で引けた。

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