邦銀、日銀からマイナスで借りても融資増は期待薄-新緩和手法の観測

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  • 次回、28、29日の政策決定会合で「やるのでは」-BNPの河野氏
  • 『金融機関に優しい政策』で民間銀行との関係修復できるか-翁教授

日本銀行による追加緩和の手段として、日銀が銀行などに貸し出す「貸出支援基金」の金利をマイナスにするのではないかとの観測が浮上している。しかし、この制度を活用して企業に融資している当の金融機関はその効果に懐疑的だ。

  同基金は企業の成長支援向けに日銀が民間銀行などに低利資金を供給する仕組み。早川英男元日銀理事は先月、マイナス調達で銀行の利ざやが拡大し、融資拡大への動機づけが高まるとの見解を表明。「日銀当座預金のマイナス幅を拡大するより、貸出支援基金にマイナス金利を適用する方がよい」と指摘した。

  BNPパリバ証券の河野龍太郎チーフエコノミストは、基金へのマイナス金利適用について「次の会合でやるのではないかと思っている」と予想する。同基金の貸出残高は6月20日時点で計25兆円と3月末の3メガ銀の融資残高(計約263兆円)の10分の1にとどまる。

日銀の黒田総裁

Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg

  ある大手銀行幹部はこの案について、マイナス調達できても需要がなければ融資にはつながらず、借り手からの金利引き下げ圧力も強まるだろうと見通す。与信基準は変わらないため単純に融資は増やせないとの声もある。次回の日銀の金融政策決定会合は7月28日、29日に開かれる。

  日銀が2月に金融機関が日銀の当座預金に預ける際にマイナス0.1%の金利適用を開始して以降、短期金融市場では取引残高が過去に比べて大幅に減るなど、現行のマイナス金利政策には副作用も生じている。

 

増えない貸出金

  日銀統計によると、国内銀行の貸し出し約定平均金利は5月に史上最低水準の0.678%に低下。しかし6月の国内銀行の貸出金残高は前年同月比2.0%増の432兆5147億円と3月以来の低水準にとどまるなど金利低下が融資拡大に結びついていない。日銀当預では10-30兆円にマイナス金利が適用されている。

  みずほ証券の上野泰也チーフマーケットエコノミストは、支援基金の金利がマイナス化すれば、企業からの金利引き下げ要請が強まり、金利ダンピング競争も生じかねないと指摘。銀行の利ざやは改善しないばかりか、かえって収益の圧迫要因となる恐れもあり、銀行側の「拒否反応が強いアイデアだと思う」と述べた。

  別の大手行幹部は基金金利のマイナス化について、日銀当預へのマイナス適用に比べ規模も小さく効果は限定的で政策の柱にはなり得ないとみる。成長が期待される企業への融資拡大につながる可能性は否定できないが、資金需要が限られる中、当預の際のような市場金利への波及効果はあまり期待できないとの見方が背景にある。

  元日銀金融研究所所長の翁邦雄京都大教授は、「金融機関にとって耳寄りな話のように持ち出されるのはかなり迷惑だろう」と指摘。「問題は市場金利のマイナス金利誘導に比べ、『金融機関に優しい政策』として、すっかり冷え込んだ日銀と金融機関の関係修復が図れるかという点にある」と語った。

(第7段落に専門家のコメントを追加しました.)
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