「ありえない」利払いが収入、フォートレスGが日本でシティとスワップ

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  • 系列Jリートが3月に約1000億円の借入金を金利スワップで固定化
  • Jリートが相次ぎ金利スワップを締結、マイナス金利で負担軽減

「ありえない経験。孫の代に語り継がなければならないような話だ」。米ファンドのフォートレス・インベストメント・グループ・ジャパン合同会社の最高投資責任者(CIO)、トーマス・プリー氏は、こう言って驚く。マイナス金利下の日本で傘下のJリートが金利スワップを通じて、シティグループ証券と野村証券に「マイナスの固定金利」を支払い、一時的に収入を得たのだ。

  フォートレス傘下のインヴィンシブル投資法人は3月、ほぼすべての変動金利での借入金約1000億円に関して金利スワップ契約を締結。同投資法人はシティ証と野村証に対し、固定金利(0~マイナス0.057%)を支払う代わりに変動金利(東京銀行間取引金利、TIBOR1カ月物)を受け取る契約を結んだ。通常は固定金利の方が変動金利より高いが、今回は固定金利の大半がマイナスに陥り、同投資法人はスワップ契約で利払い負担を軽減した。

  日本銀行のマイナス金利政策で20年国債利回りまでがもマイナス圏に陥る中、少なくとも18のJリートがマイナス金利政策以降に金利スワップを相次いで締結、金利負担の軽減を進めている。6月だけでインベスコオフィスジェイリート投資法人やアクティビア・プロパティーズ投資法人なども金利スワップ契約を締結した。18リートのうち半数以上が固定金利支払いをマイナスに抑えている。

大阪のビル群

Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg

  潤沢な資金と相まって、リターンの取れる日本の不動産への投資需要は根強い。英国の欧州連合(EU)離脱支持の国民投票を受けて、リスク回避の動きから、安定した投資先として関心が高まっているからだ。首都圏のオフィスビルなどへの投資で私募リートを運用している東京海上不動産投資顧問の投資運用部長兼海外投資部長の川野真治氏は「利回り目標は4%程度」としている。

  ドイチェ・アセット・マネジメントの4月のリポートでは、オフィスビル取引での平均イールドスプレッド(国債金利と投資利回りの差)は東京が420ベーシスポイント(bp)なのに対し、ニューヨークやロンドン240-320bp、香港210bp。

金利先安観

  マイナス金利でスワップ契約が成立する背景には、金利が一段と低下するとの見方がある。マイナスの固定金利を受け取り、変動金利を支払う側は将来、変動金利もマイナスに転じるとみて、スワップに応じている。

  TIBOR3カ月物は現在0.06%なのに対し、12月に限月を迎えるユーロ円金利先物はマイナス0.05%、18年9月限月はマイナス0.13%まで沈んでいる。金利を変動から固定に変えるためのレートを示すスワップレートの1年物は現在、マイナス0.1%。

  野村証とシティG証の広報担当はそれぞれ、インヴィンシブルとの金利スワップ契約についてコメントを控えた。

不動産投資

  フォートレスは訪日観光客の増加を好機とみて、日本ではホテル投資に力を入れている。ファンドを通じたホテルの取得に加えて、財政再建に悩む大阪市から経営が悪化していた50階建ての大型複合施設を取得するなど、高い収益性の投資を目指している。スポンサー(設立母体)のインヴィンシブルはホテルを主な投資対象とし運用資産を拡大している。

  プリー氏はフォートレスは割安の不動産を取得し、改修などを通じて収益性のある不動産にする投資手法が主力と説明する。日銀のマイナス金利導入後もこの戦略を変えることはないという。

  同氏は、「マイナス金利の目的はファイナンスのコストを下げることだけではなく、市場のアニマル・スピリッツに火を付けて、リスク志向を高めることでもあろう」と述べたが、「それはまだ起こっていない」と語った。

(第6,7段落を追加しました.)
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