HFマネジャー創業の「お金のデザイン」、世界へ投資で若者に人気

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  • ロボアドバイザーTHEO、年内にもスマホアプリ化「上場視野に」
  • 世界の株式、債券など1万1000銘柄に選別投資、10万円から可能

日本銀行によるマイナス金利導入と同時にサービスを開始したロボアドバイザー型資産運用システム「THEO(テオ)」が若い個人投資家の人気を集めている。ヘッジファンド創業者の谷家衛氏が率いる運用会社「お金のデザイン」が世界経済の成長に投資するのが特徴だ。

  同社会長を務める谷家氏によると、テオにはサービスを開始した2月16日から5月下旬までの100日間で7万件を超えるアクセスがあり、このうち5500人が口座を開設。利用者の大半は「20代、30代で投資経験が少ない人が多い」という。今後4年で預かり資産は2000ー3000億円規模に拡大したい考えだ。

  テオはウェブサイトが窓口となり投資家に運用をアドバイス。株式や社債、国債など世界1万1000銘柄の上場投資信託(ETF)から投資方針に合わせて自動選定する。マイナス金利が導入された日本で金利商品などで安定した資産運用が難しくなる中、リスク分散しながら世界の成長を享受できるメリットがある。

日米の紙幣

Photographer: Tomohiro Ohsumi/Bloomberg

  お金のデザインは2013年設立。東京大学や京都大学と連携するベンチャーキャピタルも出資、14年10月に投資助言・代理業として登録した。谷家氏は東大卒、ソロモン・ブラザーズ証券を経て独立系ファンドのあすかアセットマネジメントを設立、ライフネット生命保険の創業にも携わった。

スマホアプリ化

  リサーチ会社セレントの柳川英一郎シニア・アナリストは、ロボアドバイザーについて「20代から40代までの需要ポテンシャルは大きい」と指摘。「預金偏重で超保守的な日本人は投資判断を証券会社などに委ねてきたが、若い世代を中心にテクノロジーに頼る動きは多くなるだろう」と見通した。

  谷家氏はブルームバーグとのインタビューで、年内にはスマートフォン向けにテオのアプリ化も進め、将来的には「上場を視野に成長していきたい」と語った。事業拡大に向け銀行などとの提携を模索していることも明らかにした。システム開発や運用強化のためグーグルやUBSから専門的な人材の採用も進めているという。

  テオは個人投資家を対象に、コンピューターの判断で自動売買するアルゴリズムをETF取引に採用して運用する。最低投資額は10万円、手数料は投資額の1%。スマホなどを使って簡単な手続きで口座開設が申し込める。

  谷家氏は世界への分散投資について、人口減少に伴う低成長の中で、日本の投資家にとっては最良の運用戦略になると指摘。世界経済全体は3%以上の成長を続けるとし、「国際分散投資でリスクを回避しつつ安定配当を受け取ることが重要になる」と述べた。テオの期待収益率はリスクを加味しても世界GDPプラス年2-3%はあるという。

米ロボアドバイザー500億ドル

  米国でテオのようなロボアドバイザーが運用する総資産額は、15年末時点で約500億ドル(約5兆2400億円)と1年間で3倍以上に拡大した。20年には2兆2000億ドル(約230兆円)規模になるとの予想もあり、ロボアドバイザー型資産運用サービスを提供する企業の預かり資産は増加傾向にある。

  国内ではオンライン型のエイト証券が昨年10月からスマホアプリでサービスを開始した。手数料0.88%、最低88ドル(1万円弱)から投資でき、主に米上場ETFが投資対象だ。同社広報担当の鈴木美沙子氏は「若年層を中心に資産運用してもらいたい」と話す。

  昨年4月設立のウェルスナビも13日から一般向けにサービスを開始。最低投資額100万円、手数料1%、海外ETFなどに分散投資する。柴山和久社長は「次世代金融インフラ」の確立を目指すと語る。昨年、SMBCベンチャーキャピタルみずほキャピタル三菱UFJキャピタルなどから約6億円の資金を調達した。

  三菱UFJフィナンシャル・グループなどの大手金融機関も、金融と情報技術(IT)を融合したフィンテックによる新たなサービスの研究・開発を進めている。セレントの柳川氏は、将来的に「既存の金融機関などがフィンテック企業を買収する可能性もある」とみている。

(最終段落に専門家のコメントを追加しました.)
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