EU離脱の現実を投資家が実感した1週間-皆が2008年を思い浮かべる

英国が欧州連合(EU)を離脱するといったん実感してしまえば、投資家の行動は素早かった。

  昨年時点で人気の高かった英商業用不動産に投資するファンドには6月23日の国民投票前から、離脱の場合に海外企業がロンドンから撤退することになるとの懸念が影を落としていた。

  離脱が選択されてから11日後の7月4日正午、スタンダード・ライフ・インベストメンツが英不動産ファンドの解約を停止すると発表。7日午後までには合わせて約180億ポンド(約2兆4000億円)相当の英不動産ファンドが解約を停止したり抑制する措置を講じていた。解約請求が増えれ過ぎれば資産の投げ売りを迫られるからだ。

  解約請求急増という事態に備えてファンドは資金の一部を現金にしている。国民投票前に現金比率を20%超にしていたファンドもあった。一方、解約停止に踏み切ったM&Gインベストメンツの「プロパティー・ポートフォリオ」(運用資産44億ポンド)の現金比率は7.7%だった。

  誰もが2008年の金融危機時のことを思い浮かべた。当時、英不動産価格は結局ピークから40%余り下落した。

  英国民投票後、不動産ファンドを運用するヘンダーソン・グループは取締役会を連日開いて対応を検討。不動産ファンド協会は業界大手の電話会議を設定したが、緊急計画は協議されていなかった。

価格引き下げ

  そこへ4日、スタンダード・ライフが解約を停止したというニュースが入ってきた。パニックが起こり解約請求が加速。5日午前にはアビバ・インベスターズも解約を停止。ヘンダーソンとM&G、コロンビア・スレッドニードル、カナダ・ライフと続いた。

  リーガル・アンド・ゼネラル・グループとカメス・キャピタルはファンドの価格を10-15%引き下げ、投資家に解約請求を思いとどまらせようとした。アバディーン・アセット・マネジメントは17%引き下げに加え、11日まで解約を停止して投資家に再考を促した。

  これが1週間の顛末(てんまつ)だ。ティルニー・ベストインベストのマネジングディレクター、ジェーソン・ホランズ氏は、スタンダード・ライフから感染が広がったが「英不動産価格がどうなるか、実は誰にも分からない」と話した。

  英国内で個人向けにファンドを販売するハーグリーブズ・ランズダウンのシニアアナリスト、レース・カラフ氏も「価格評価引き下げは推量に基づいたものにすぎない。実際の取引価格はそれより高いかもしれないし低いかもしれない」と述べた。一部のファンドは不動産仲介業者を雇って売れる資産の検討を始めている。

原題:The Week Brexit Got Real for Investors in Frozen Property Funds(抜粋)

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