超長期債が下落、予想下回る30年入札結果受け-先物は上昇に転じる

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  • 新発20年債利回り一時0.095%、新発30年債利回り0.145%まで上昇
  • 30年債入札:最低落札価格は予想を大幅に下回る、応札倍率低下

債券市場では超長期債相場が下落。この日実施の30年債入札で最低落札価格が市場予想を大幅に下回ったことが嫌気されて売りが優勢となった。半面、中長期債は根強い追加緩和観測を背景に持ち直し、これを受けて先物は上昇に転じた。

  12日の現物債市場で新発20年物の157回債利回りは、日本相互証券が公表した前日午後3時時点の参照値より2ベーシスポイント(bp)高い0.07%で開始し、一時は0.095%と6月27日以来の水準まで上昇した。新発30年物の51回債利回りは1.5bp高い0.11%で開始。30年債入札後には0.145%と6月30日以来の水準まで上昇した。

  長期金利の指標となる新発10年物国債の343回債利回りは1.5bp高いマイナス0.265%で開始し、マイナス0.255%まで上昇した後、マイナス0.285%に下げる場面があった。新発2年物の366回債利回りはマイナス0.345%に上昇した後、横ばいの0.355%に戻している。

  メリルリンチ日本証券の大崎秀一チーフ金利ストラテジストは、「30年債入札結果はテールが大きく弱かった。そもそも今の金利水準が低過ぎることや、相場そのものが調整局面にあることが影響したとみられる。さらに日銀が超長期国債の買い入れ額を減額する懸念があることや、安倍首相による補正予算に伴う国債供給増への警戒も弱い結果につながったとみられる」と話した。ただ、「イールドカーブの手前は追加緩和期待で上がりづらいため、ベアスティープニングが進む可能性がある」と言う。

  長期国債先物市場で中心限月9月物は、前日比9銭安の153円51銭で取引を開始。しばらく153円50銭付近での推移となった後、30年入札結果を受けて売りが膨らむと、26銭安の153円34銭まで下落した。その後は持ち直し、結局は9銭高の153円69銭で引けた。

  財務省が午後発表した表面利率0.3%の30年利付国債(51回債)の入札結果によると、最低落札価格は104円45銭と予想の105円10銭を大幅に下回った。小さければ好調なテール(平均と最低落札価格の差)は75銭となり、2013年4月以来の大きさ。投資家需要の強弱を反映する応札倍率は2.64倍と昨年7月以来の低水準となった。一方。平均落札利回りが 0.120%、最高落札利回りが0.144%と、足元の金利低下を背景して、ともに過去最低水準を更新した。

  マスミューチュアル生命保険運用戦略部の嶋村哲金利統括グループ長は、「今までやり過ぎた分の反動や、経済対策の報道が出て、いったん様子見で売り優勢だ」と話した。30年債入札については、「金利が低く、このタイミングで突っ込んで買う必要はないとの姿勢だろう。30年債利回りが0.15%に乗れば多少の買いが入ると思う」との見方を示した。

経済対策

  11日の米国債相場は下落。米10年物国債利回りは前週末比7bp上昇の1.43%程度で終了した。米国株式相場の上昇に加えて、米3年債入札が低調だったことが売り材料となった。ニューヨーク外国為替市場では、円がドルに対し2014年10月以降で最大の下げとなった。参院選での与党勝利を受け、日本政府が経済対策実施の方針を示したことに反応した。

  安倍晋三首相はこの日、参院選で訴えた経済対策の準備に入るよう石原伸晃経済再生担当相に指示する。参院選結果を受け、11日午後に自民党本部で開いた記者会見で明らかにした。日経新聞は、融資などを含め事業規模10兆円を超える大型対策で自らの経済政策「アベノミクス」を進めると伝えた。

  みずほ証券の辻宏樹マーケットアナリストは、「国債を財源に使うとの報道から金利低下要因ではないことは確かだ。ただ、前倒し債の発行も積み上がっており、かなりの部分を補うことができる。カレンダーベースの発行にどれだけ影響が出るかは、財務省の裁量なので読みにくい。10兆円がすべてカレンダーベースの発行につながるわけではないので、大幅な金利上昇を促す材料でもないのではないか」と分析した。

  三井住友アセットマネジメントの深代潤債券運用グループ理事兼副ヘッドは、「世界的に政治イベントが一巡し、リスクオンの基調が戻ってきた。政府の経済対策は『真水』がどこまで出てくるか、まだ不透明だが、債券市場のテーマになっている需給逼迫(ひっぱく)が緩和するのか、不安と期待がある。前倒債の発行が積み上がっているので、市場は現時点では国債増発をあまり期待していないが、経済対策の規模が膨らめば増発もあり得ると念頭に置き始めている」と話した。

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