自民:衆参の憲法審査会で改正論議始動へ-真剣に議論をと首相

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  • 参院選で改憲勢力3分の2に、国民投票にはなお課題
  • 国会での改憲議論は慌てずに-公明党・山口代表

参院選の結果、自民、公明の連立与党と憲法改正に前向きな一部野党、無所属議員の合計議席が非改選と合わせて憲法改正発議に必要な3分の2(162)を占めることになった。自民党は衆参両院の憲法審査会で改憲の具体的な条項などについて議論を進めたい考えだが、公明党は国民の理解が不可欠としており、慎重に議論すべきだとの考えだ。

  自民党は参院選公約で「衆院、参院の憲法審査会における議論を進め、各党との連携を図り、併せて国民の合意形成に努め、憲法改正を目指す」と記述している。安倍晋三首相は11日の記者会見で、「子どもたちの未来のために、どの条文をどう変えるべきかということについて憲法審査会でまずは真剣に議論していくべきだ」と語った。

  安倍首相は自民党が野党時代に発表した「日本憲法改正草案」については「そのまま通るとは考えていない」と指摘。その上で、「わが党の案をベースにしながら、3分の2を構築していくか。これがまさに政治の技術と言ってもいい」と述べた。

  憲法は第96条で、改憲には衆参両院で「総議員の三分の二以上の賛成」により、国会が発議し、「特別の国民投票または国会の定める選挙の際行われる投票」で、「過半数の賛成を必要とする」と規定している。衆院では自民、公明の連立与党は定数(475)の3分の2(317)以上の議席を占めている。衆院議員の任期は2018年12月まで。

日の丸を手に安倍首相を待つ聴衆(9日、秋葉原)

Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg

  参院選で民進、共産両党などは自民、公明の連立与党とおおさか維新など「改憲勢力」による3分の2確保阻止を訴えていた。公明党の山口那津男代表は10日夜、TBSの番組で、改憲については国会の中で合意形成を図り、「慌てないでしっかりやっていくべきだ」と語った。

  政治評論家の有馬晴海氏は国会の発議までには2年程度かかるとみているが、首相の自民党総裁としての任期が18年9月までとなっていることから、さらに「早めてくる可能性もある」との見方も示した。政治評論家の伊藤惇夫氏は国民投票は「1票でも負けると政権は終わる。途端に政権崩壊だ」と指摘。国会発議は実現しても「再来年、政権終盤の2018年になるのではないか」と語った。

  安倍首相は1月、NHKの番組で参院で「自公だけでなくて改憲を考えている前向きな、未来に向かって責任感の強い人たちと3分の2を構成していきたい」と発言。連携対象として「おおさか維新の会」の名前を挙げた。3月の参院予算委員会では憲法改正を「私の在任中に成し遂げたい」との意向も明らかにしていた。

有権者

  参院選で安倍首相が最後の街頭演説を行った9日夜の東京・秋葉原。多くの聴衆が日の丸の小旗を振りながら首相らに声援を送っていた。

  茨城県のサービス業、伊藤えり子さん(60)は憲法改正について「一刻も早くやるべきだ。安倍政権のうちに改正してほしい。特に9条、国防軍にすべきだ。それは自衛隊のためにもなる。戦争だけではない、多くのリスクがある」と語った。建設業の重永俊二さん(52)は「戦争は良くないが、交渉をする上で戦争をする権利は持っておくべきだ。抑止力になる」と語った。

  一方、8日午後に民進党が都内で行った街頭演説を聞いていた東京都町田市の主婦、長島裕美子さん(52)は「安倍さんが憲法のどこをどう変えるかというのを言わずに、選挙の争点にしないことに不信感、危機感がある」と指摘した。

  狛江市の介護職、梶川朋 さん(27)は「改憲について与党が話をしない。野党の話だけだとよく分からない」と述べた上で、「今後憲法が変わると戦争のできる国に変わることは十分考えられる。この先長く生きていくのは若者なので不安がある」と語った。

  

(第2、3段落に安倍首相の11日の記者会見での発言を追加します.)
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