ヘッジファンドが変身願望で人材争奪戦-テクノロジー駆使が成功の鍵

  • ブリッジウォーターやポイント72、ツー・シグマが人材引き抜き
  • クオンツ運用ファンド、英国民投票後に強み見せる

シリコンバレーのテクノロジー企業は用心を。幹部として最適な人材はいないか、金融業界が虎視眈々(たんたん)と狙っている。

  ヘッジファンド運用会社がエンジニアや数学者をそろえてコンピューターを駆使する企業に大変身しようと、大手テクノロジー企業から幹部を引き抜いている。シタデルは7日、証券部門の最高経営責任者(CEO)にマイクロソフトのケビン・ターナー最高執行責任者(COO)を起用すると発表。過去1年にもツー・シグマ・インベストメンツがグーグルの幹部アルフレッド・スペクター氏を最高技術責任者(CTO)として採用したり、ブリッジウォーター・アソシエーツがアップルでの勤務経験があるジョン・ルービンスタイン氏を共同CEOとして迎えるなど、大きな動きが見られた。

  ヘッジファンドや銀行がこうした幹部に期待するのは、複雑なコンピューターやビッグデータ分析、人工知能(AI)を駆使して投資の世界で抜きん出た企業に変身するための支援だ。ポイント72アセット・マネジメントのダグ・ヘインズ社長やゴールドマン・サックス・グループのロイド・ブランクファインCEOは昨年それぞれ、自身が率いる企業をテクノロジー企業と呼んだ。

  金融業界向けに人材あっせんを行うケネディ・グループ(ロンドン)のジェーソン・ケネディCEOは「金融の世界がますます自動化されるにつれ、金融機関はテクノロジー企業のように考えるようになってきた」とし、「ウォール街の競争上の優位はソフトウエアが決めるだろう」と話した。

  ケネス・グリフィン氏率いるシタデルは2002年からテクノロジー分野に投資。先月には、モルガン・スタンレーに約30年勤務したテクノロジー分野のベテラン、スティーブ・リーブリッチ氏をヘッジファンド部門のCTOとして採用すると発表するなど、他社から続々と人材を迎え入れている。

  クオンツ投資を行うポイント72は昨年、元IBM幹部のティモシー・ショーネシー氏をCOOとして採用したほか、コーディングの人材を雇ってデータ収集と投資パターン分析を手掛けるコンピューターモデルの構築に取り組んでいる。レイ・ダリオ氏のブリッジウォーターもプログラマーやエンジニアを雇い入れ、AIの利用を拡大している。

  エンジニアやソフトウエアへのこうした投資は英国民投票後の株式市場混乱で役立った。欧州連合(EU)離脱支持の結果に終わった投票翌日の24日、コンピューターモデルを駆使したヘッジファンドは全般的に人間のトレーダーを上回る成績を残し、1日で4%超のプラスとなった。

  銘柄選定の伝統的な株式運用の多くが苦戦する中で、クオンツファンドには資金が流入している。ツー・シグマの運用資産は350億ドル(約3兆5200億円)と、14年末の240億ドルから増え、ルネッサンス・テクノロジーズでも320億ドルと、昨年10月の270億ドルを上回っている。

原題:Hedge Funds’ Tech Metamorphosis Seen in Citadel’s Microsoft Hire(抜粋)

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