JERA:複数の欧州企業とLNG販売で交渉、転売量3倍に拡大

更新日時
  • 数カ月以内に欧州企業への販売契約締結へ-仏電力EDFTに続き
  • 欧州ガス市場への参入も検討、現地企業との関係構築

東京電力フュエル&パワーと中部電力が共同で出資する火力発電用燃料調達会社JERA(ジェラ)は、複数の欧州企業との間で液化天然ガス(LNG)を販売するための交渉を行っている。需給バランス変動時の調整弁となる転売先を確保するとともに、価格体系が異なる他地域の市場への転売で収益の拡大を目指す。

  JERAの佐藤裕紀販売・調達部長は6日、ブルームバーグのインタビューで明らかにした。欧州企業との交渉がまとまれば、2015年4月のJERA発足時に年約45万トンだった第三者向けの転売量は3倍の同150万トンになる見通し。東電、中部電の消費分も含めた同社の年間取り扱い量は世界最大級の約4000万トン。中長期的には転売量をこの1割程度の同400万トンに拡大することを目指す。

東京電力富津火力発電所に停泊するLNGタンカー

Photographer: Tomohiro Ohsumi/Bloomberg

  財務省の統計によると日本のLNG輸入量は、年間を通じて全原発が停止していた14年の8850万トンをピークに減少に転じている。経済産業省は米国やオーストラリアの新規事業の操業が始まると国内企業の年間調達量は17年に約9500万トンに達する見通しで、需要を上回る可能性があると指摘している。

  JERAは今年5月、仏電力会社EDF子会社との間で初めての海外向け販売契約を締結し、18年6月からの2年半で最大150万トンを販売する計画。値決め方式は欧州の天然ガス指標価格に連動するもので、販売数量をJERAの裁量で自由に調整できる柔軟性を獲得した。他の欧州企業とも同様の条件で契約することで、需給調整機能を強化したい考えだ。

数カ月以内に欧州企業と契約

  佐藤氏は、原発再稼働や再生可能エネルギーの利用拡大など「国内需要の不透明さに対して、このようなスキームを作ることが大事」とし、欧州企業との新たな販売契約を数カ月以内に契約できると述べた。

  従来のLNG取引では、契約期間が長く、原油価格に連動して価格が決定される契約が主流で、この契約には仕向地条項と呼ばれる売り主による転売制限も付されていた。新たに始まる米国からのLNG供給など新規の契約を中心に仕向地条項は緩和される傾向にある。JERAは米テキサス州のフリーポート事業から仕向地条項のないLNG契約を確保しており、これを欧州市場で転売し需給調整や市場間の価格差で得られる収益の拡大を狙っている。

  経産省は5月に発表したLNG市場戦略の中で、「石油価格に連動するLNGの価格決定方式は、必ずしも合理的とは言えない状況となりつつある。」と指摘。さらに長期契約でも「現在の主要な価格決定方式である石油価格に連動する体系から、ガスの取引価格指標に連動する体系へと移行していく必要がある」とした。

多様化に価値

  コンサルティング会社IHSのアナリスト、ジェームス・タバナー氏は「日本の買い手にとってLNG調達の契約を多様化させることには価値がある」と指摘する。さらに「供給源の多様化は安定供給にとって重要であり、値決め方法の多様化は価格変動リスクの管理に役立つ」との見解を示した。

  佐藤氏は欧州企業への販売契約は、欧州での事業拡大に向けた「一つの入り口」との考えを示した。輸入基地の先に広がる欧州市場に参入するため、LNG輸入基地やガスパイプラインのインフラなどを保有する現地の会社と「ウィンウィンのスキームを作っていきたい」との考えを示した。英国のナショナル・バランシング・ポイント(NBP)やオランダのTTF、ベルギーのジーブルージュといった指標となる天然ガスの価格が形成される市場への参入も検討している。

(7、8段落目に内容を追加します。.)
    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中
    LEARN MORE