英EU離脱の「苦い後味」-ロンドン有名レストランでバンカー消える

  • 金融街シティーの倹約モードで英外食ブーム全体に陰りも
  • ポンド下落でイベリコハム輸入コストが心配、ボルドーワインも

ロンドンの高級住宅地メイフェアにあるレストラン「コリガンズ」では通常、3つある個室がディールの成功を祝うバンカーでいっぱいになり、ウサギ肉のローストにほうれん草とアミガサタケが添えられた料理(30ポンド=約4000円)などに注文が入る。

  ところが欧州連合(EU)離脱が選択された6月23日の英国民投票以降、銀行のディールは干上がり、コリガンズではあまり見られない現象が起きている。それは予約のキャンセルだ。

  シェフ兼オーナーのリチャード・コリガン氏は、「シティー(ロンドンの金融街)がロンドンの外食全体を支えている。シティーが神経質になれば、ロンドン全体も揺れ動く」と話し、「客の入りは5月も6月も非常に良かったのだが、7月に入ってかなり静かだ」と述べた。

英では輸入ワインも割高になりそう

Photographer: Chris Ratcliffe/Bloomberg News

  最悪期はこれからではないかと、ロンドン中のレストラン経営者が懸念している。企業は倹約モードを維持し、ポンド安が輸入食品価格を押し上げ、飲食店はEU加盟国出身の従業員を雇うのに苦労しそうだ。

  つい最近まで英国では外食が人気を博し、レストラン数が過去5年で21%増えた。しかし、これからは供給が需要を上回るかもしれない。調査会社コファー・ピーチが集計したデータによると、国民投票を前に既に、既存のレストランの売上高の伸びは今年に入って1.3%と、これまでの半分になっていた。

  フレンチの著名シェフ、ピエール・コフマン氏が3コースのセットランチを28ポンドで提供するコフマンズでも席が埋まらない。国民投票後の1週間で売り上げは25%減少。「ちょっと恐い。『BREXIT(英EU離脱)こんにちは、お客様さようなら』状態だ」と同氏は話す。

  これに拍車をかけそうなのが景気下降だ。国民投票後にブルームバーグが実施した調査によると、エコノミストの4分の3近くが英国は2009年以来のリセッション(景気後退)に向かっていると回答。英政府統計局(ONS)によれば、当時のリセッションではカフェやレストランでの四半期支出が最大6.6%減少した。

  国民投票後はEU加盟国に引き続き労働力を頼れるのかという問題に加え、ユーロに対して10%値下がりしたポンドも気がかりだ。バークレイズ・キャピタルの試算によると、英国は食料の約半分を輸入に頼っている。

イベリコハム

Photographer: Angel Navarrete/Bloomberg

  スペイン人シェフ、ホセ・ピサロ氏はイベリコハムやシェリービネガーなどの食材を手頃な価格で調達することができなくなり、ロンドンのレストランにやってくる顧客の勘定が高くなる可能性を指摘。「本当に心配だ。値段が上がれば、人々はあまり外食できないという結果になる。不透明感があるので、自己資金をここにこれ以上は投資できない。お金を無駄にしたくない」と述べた。

  メイフェアのレストランに話を戻そう。ポンドの値下がりで仏ワインの価格が15%増すとみて、コリガン氏は下落前の水準での確定を急いだ。「ポンドの値下がりを見て、私はコリガンズのソムリエに電話して『ボルドーを買え、ボルドーを買え』と指示したんだ」と述べた。

原題:Brexit’s Bitter Aftertaste Empties London Restaurant Tables(抜粋)

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