【インサイト】緊急避難の不動産ファンド、2008年の教訓から学べ

  • 出口を閉ざすのは最後の手段であるべきだ
  • 情報がないと投資家は最悪を想像する

英国の運用業界で著名な数社が不動産ファンドの解約を停止した。保有資産を処分することが当分の間できないということだ。金融危機時にも、一部ヘッジファンドが同じようなことをした。

  今と当時は同じではないが、運用会社が2007-09年の出来事から学ぶべき教訓はある。

  スタンダード・ライフやアビバ、M&G、ヘンダーソンなどは、商業用不動産ファンドの出口の「門」を閉じてしまった。オフィスやビジネスセンター、ショッピングセンターといった商業用不動産はそもそも流動性が低い。つまり、環境が良い時でも適切な買い手を見つけるのに時間がかかるということだ。ファンドは通常、限定的な解約請求に応じるため一定の現金を手元に置いている。これによって、急いで資産を安売りしなくて済む。資金を引き揚げる投資家が多くならない限り、問題はなかった。

  今起きている問題は、前回の危機時にも見られた。突然に流動性が失われたクレジット商品について、一部のファンドが門を閉ざした。解約請求の急増がそうした商品の流動性の無さを露呈させたとも言える。投資家がいつでも売買できると考えていた資産が実はそうではなかったことが分かった。

  現在、英国の商業用不動産の価値には疑問府が付いている。こうした不動産や住宅の賃貸料、あるいは住宅ローン支払いを裏付けとした証券についても懸念が浮上するだろう。値下がりや仕組みをめぐる懸念は07-09年の複雑なクレジット商品に関するものほど深刻にはならないだろうが、学べることはある。

  一つは、できるかぎり透明性を高くし積極的に情報を発信することだ。ファンドのポートフォリオの中身と価値が分からないと投資家は最悪の状態を想像する。

  もう一つの教訓は「門を閉じる」のは最後の手段であるべきだということだ。金融危機時に一部のヘッジファンドはこの手段に訴えなかった。その結果大量の資金が流出し損失を被ったが、危機が過ぎて投資家の資金が戻り始めると、この良心的な行動が顧客を呼び込む上で大きな宣伝上の強みとなった。失うことで得られるものもあるということだ。

(このコラムの内容は必ずしもブルームバーグ・エル・ピーの意見を反映するものではありません)

原題:As Property Funds Hunker Down, Some Lessons From 2008: Gadfly(抜粋)

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