金をスイスで保管、日本からの資産逃避じわり-英ブリオンボールト

  • 1-6月の日本からの金買い注文は6割増-マイナス金利導入で
  • 若い世代の金への関心増受けて日本にも地金保管場所の設置を検討

「米国の顧客のほとんどが自国内に金を保管しない」。こう語るのは金地金のオンライン取引を手がける英ブリオンボールトの日本市場責任者、ホワイトハウス佐藤敦子氏。世界的恐慌を乗り切るためとして米国では1933年に金保有が禁止され、すべて没収された歴史を持つだけに政府を信用せず自身で資産を守る意識が強いという。こうした動きが日本でも起きていると指摘する。

スイスの刻印が押された金地金

Photographer: Chris Ratcliffe/Bloomberg

  「日本の行く末を憂慮し、国内で金地金を保有するのはリスクと考え、スイスに保管しておきたいという顧客は多い」。ホワイトハウス佐藤氏は4日、都内でブルームバーグに対して述べた。日本銀行による今年1月のマイナス金利の導入決定後、特にこうした関心が高まったといい、日本からの2016年前半の資金入金件数は15年後半と比べ6割増加した。異例のマイナス金利導入や財政の先行き不安などから、資産の一部を金として海外で保管したいとの関心が高まっているとみている。

  金地金を購入してスイスに保管する場合、保管料を支払う必要があるが、国内で円建ての金地金を購入して保有する場合と異なり、為替変動による影響を避けることができる。

  ブリオンボールトではロンドン、ニューヨーク、チューリヒ、シンガポール、トロントに顧客資産を預かる保管場所を持つ。このうちニューヨークでの金の保管量は全体のわずか2%にとどまり、英国の顧客の約半分も全体の7割超を占めるスイスの保管場所を選ぶ傾向がある。「金の投資家は皆、ほぼ自国では保管しない」と文字通り資産を分散させているのが特徴だ。

  英国の欧州連合(EU)離脱を受けた先行き不透明感からも、安全資産としての金に対する関心を高めた。国民投票のあった6月24日、離脱優勢が伝わるとインターネットを通じたブリオンボールトの取引量は急増。合計3000万ポンド(約41億円)の金や銀地金の取引が成立し、同社の1日の取引量としては過去最高を記録した。

2年4カ月ぶり高値

  6日のニューヨーク金相場は一時1オンス=1375.28ドルまで上昇し、14年3月以来となる2年4カ月ぶりの高値を付けた。UBSグループのアナリスト、ジョニ・テベス氏(ロンドン在勤)は「金は次の強気局面の初期段階に入った可能性が高い」とリポートで指摘。「このトレンドはこれから本格化し、さらに買いを集め、これまでは消極的だった投資家の参入を促すだろう」と述べた。短期的な価格目標を4月時点の1オンス=1250ドルから同1400ドルへと引き上げ、7-12月の金価格は平均1340ドルで推移すると予測した。

  現在のブリオンボールトの金地金保管量は35トン超。マレーシアやスロバキアなどの中銀保有量と同規模を誇る。顧客数は6万1000人といい、全体の約10%が日本やシンガポールなどアジア地域の顧客。純金積み立てなど若い世代でも金投資への関心が高まっているとして、容易に金地金を引き出せるよう日本国内に世界6カ所目となる保管場所を設置することも検討している。

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