円全面高、リスク回避で対ドル一時100円台-ポンド31年ぶり安値更新

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  • ドル・円は一時100円58銭、先月24日以来のドル安・円高水準
  • もう一度100円割れを試し、当局の出方を探る状況に-上田ハーロー

6日の東京外国為替市場では円が全面高。英国の不動産ファンド取引停止をきっかけにリスク回避の動きが再燃したことが背景で、ドル・円相場は一時8営業日ぶりに1ドル=100円台に下落した。ポンドは1ポンド=1.30ドル台を割り込み、約31年ぶりの安値を更新した。

  午後3時45分現在のドル・円相場は100円13銭前後。一時は前日のニューヨーク市場午後遅くの水準(101円74銭)から1円以上円高の100円58銭と、英国民投票での欧州連合(EU)離脱派勝利を受けて円が急騰した6月24日以来のドル安・円高水準を付けた。

  バンク・オブ・アメリカ・エヌ・エイ外国為替本部の岩崎拓也営業本部長は、ドル・円はリスクオフで下げているが、ある意味想定通りでむしろ先週後半のリバウンドの方が「何を期待していたのかという感じで意外感があった」と指摘。世界的な成長減速懸念がある中で、イタリアの銀行問題などが出始めており、「これから先への警戒感は続くことになる」と語った。 

  ポンドは対ドルで1ポンド=1.2923ドル前後で、一時は前日比1.7%安の1.2798ドルまで下落。また、ポンド・円は1ポンド=132円台から大台を次々と割り込み、一時2012年11月以来となる128円台後半までポンド安・円高が進んだ。同時刻現在は130円68銭前後。

  イングランド銀行(英中央銀行)のカーニー総裁は5日、EU離脱決定の衝撃に伴うリスクが具体化し始めたとの認識を示し、金融安定を支えると表明した。英国では大手不動産ファンドの対顧客取引停止が相次ぎ、3本で合計約91億ポンドの資産が凍結された。英国民投票でEU離脱が決まった後、投資家からの償還請求が急増していた。

  ブラウン・ブラザーズ・ハリマン外国為替部の村田雅志通貨ストラテジスは、英国経済がどの程度悪くなるかは分からないが、「少なくともポジティブに働くことはないし、ショックアブゾーバーとしての変動相場制を考えるなら、めどとして例えば2割くらい下がってそこでショックが吸収されると思うなら1ポンド=1.20ドルくらいも視野に入れておかないといけないかもしれない」と語った。

  一方、5日の債券市場ではイタリアの銀行債が値下がり。政府がモンテ・デイ・パスキ・ディ・シエナ銀行への資本注入の承認を求め、EU当局と交渉しているとの関係者発言が伝えられ、劣後債保有者が損失負担を迫られるベイルインの懸念が生じた。

  リスク回避の動きが強まる中、6日のアジア株式相場は全面安となっており、日経平均株価は一時501円安まで下げを拡大する場面があった。また、国内債券市場では新発20年債利回りが初めてマイナス圏まで低下したほか、10年物や30年物利回りも過去最低を更新。前日に過去最低を更新した米10年債利回りも時間外取引で一段と低下している。

  世耕弘成官房副長官は午前の定例会見で、日本経済のファンダメンタルズは確かだとした上で、政府として為替や長期金利の水準、株価の動きについて具体的にコメントすることは差し控えたいと述べた、

  上田ハーロー外貨保証金事業部の山内俊哉氏は、「Brexit(英国のEU離脱)の初期ショックはいったん沈静化して楽観的なムードになったものの、ここにきてイタリアの銀行問題や英不動産ファンドの解約などの話も出てきており、再びリスクオフに目が行きやすい状況になっている」と説明。ドル・円は下値リスクが高まっており、週末発表の米雇用統計次第な面もあるものの、「もう一度100円割れを試し、当局の出方を探る状況になっていきそう」と話した。

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