マイナス金利の日本とスイス、共同で富裕層向けファンド提供へ

更新日時
  • 8月にも国内の富裕層などにファンド・オブ・ファンズの提供開始
  • 「スイスの業者は保守的な運用に優れている」と日本の助言会社

日本に先立ち2014年12月にマイナス金利政策が導入されたスイス。日本の運用サービス会社が富裕層向け金融サービスの本場スイスの業者と連携し、ともに運用難の富裕層に向け、ファンド・オブ・ファンズ(FoF)の提供に乗り出す。

  国内独立系運用助言会社、アリスタゴラ・アドバイザーズの篠田丈会長によると、スイスの資産運用会社ドクター・ブラマー・アンド・パートナーが運用する欧州などの海外投資家向けFoFへの助言を6月から開始した。早ければ8月にも、国内の富裕層や学校法人などにも同様のFoFの提供を始める。

  マイナス金利下の両国国債は金利が一段と低下。日本では20年債が、スイスでも50年債の利回りがそれぞれ、初めてマイナスに落ち込んだ。インベスコ・アセット・マネジメントによると日本では定期性預金から普通預金などへと資金移動が起き、新たな投資先を模索する待機資金が増加。インベスコの佐藤秀樹社長は、個人投資家の資金が「この1-2年で約10兆円、シフトする可能性がある」との見方を示す。

日本銀行は1月末にマイナス金利導入を決定

Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg

  アリスタゴラの篠田氏は、スイスの業者と組むメリットについて「プライベートバンクのサービスが充実しているスイスの運用業者は保守的な運用にたけており、日本からではアクセスできない運用商品への投資も可能」と話す。FoFに仕組み債などを組み入れることで、「およそリスクは20ー30%落ちる可能性がある」と話し、定期的に金利収入が見込め、ボラティリティを下げてリターンが安定する効果が期待できるという。

  同氏は、超低金利環境で「キャッシュの置き場に困っている投資家が増えており、地方の金融機関もこのような運用商品に興味を持ち始めている」と話す。コンサルティング会社キャップジェミニによると100万ドル(約1億円)以上の運用資産を保有する日本の富裕層は272万人と米国に次ぎ世界で2番目に多いが、運用業者への満足度は世界一低い。

既成型

  アリスタゴラは従来、投資家の資産内容や運用方針に合わせたテーラーメード型ファンドの助言業務を手掛けてきた。分散投資が基本だが、管理の手間などから投資家自らが分散しなくても済む既製型のFoFの助言に乗り出した。

  当初の運用資金5億-6億円で、投資対象候補は内外株式に投資するファンドや独不動産が裏付けとなっている債券、クレジット・リンク債など当初5ー6種から、最大20種程度。収益目標は年率10ー15%、リスクは10%以下に抑え、リスクに対する収益性を示すシャープレシオは2程度を目指す。

  ブルームバーグのデータによると東証株価指数(TOPIX)の過去5年間のリスクは年率21.15%、シャープレシオは0.60だった。

  マネックス証券の大槻奈那チーフアナリストは、「運用会社の預金に手数料がかかり始めており、手数料を取る対象が拡大していけば、運用報酬を払ってでもパフォーマンスが上がるなら良いという考え方が出てくる」と話し、オルタナティブ投資が拡大する可能性があるとの見方を示した。

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中
    LEARN MORE