20年債が初のマイナス金利、リスク回避の買い-今後のオペ対応注目も

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  • 英EU離脱の話はまだ入り口、世界経済の長期的懸念材料-岡三証
  • 日銀がこのフラットニングをどう見ているか注目-SMBC日興

債券相場は上昇。新発20年債利回りが初めてマイナス金利を付け、10年物や30年物の利回りは過去最低水準を更新した。英国の欧州連合(EU)離脱を背景とした金融市場の混乱や世界的な景気懸念でリスク回避の動きが強まった。日本銀行が実施した国債買い入れオペの結果も買い手掛かりとなった。今後の日銀オペの対応にも注目が集まっており、取引終了にかけて上昇幅を縮小した。

  6日の現物債市場で長期金利の指標となる新発10年物国債の343回債利回りは、日本相互証券が公表した前日午後3時時点の参照値より1ベーシスポイント(bp)低いマイナス0.265%と過去最低を更新して開始し、マイナス0.285%まで下げた。その後は売られてマイナス0.27%で推移した。新発20年物の157回債利回りは一時3.5bp低いマイナス0.005%を付けた後、0.025%に戻した。新発30年物の51回債利回りは4bp低い0.015%と最低水準を付けた後、一時0.055%まで売られる場面があった。

  パインブリッジ・インベストメンツ債券運用部の松川忠部長は、「イタリアの銀行の経営不安や英国の不動産市場への懸念から海外金利が低下したリスクオフの流れが続いた。30年債の利回りもゼロに近づき、相場の上値がどれぐらいあるのか不透明だ。債券は買いづらいが、売りづらい」と話した。

  この日のアジア時間の米国債市場では10年物国債利回りが一時1.34%程度と過去最低を更新した。欧州での成長減速の兆しを手掛かりに世界的に株価が下落し、マイナス利回りの国債が増えたことで、米国債の投資妙味が高まった。前日の欧州債市場でドイツ10年物国債利回りはマイナス幅を拡大した。英国で大手不動産ファンドの解約停止が相次いだ上、イタリア政府が国内3位の銀行への資本注入を検討しているとの報道がリスク回避の動きを強めた。

  岡三証券の鈴木誠債券シニアストラテジストは、「英EU離脱の話はまだ入り口で、世界経済に対する長期的な懸念材料だ。みんな見えない部分が怖いので、リスク資産の売却につながっている。安全資産の国債が買われる動きだ」と指摘した上で、「プラス利回りを取る動きからついに20年債までマイナスと、債券市場はバブルに入りつつある」との見方を示した。

  長期国債先物市場で中心限月9月物は、前日比16銭高の153円47銭で取引を開始し、午前は徐々に水準を切り上げた。日銀の買い入れオペの結果が発表された午後は、これまでの最高値153円56銭を上回る153円60銭台に乗せて始まり、一時153円64銭まで上昇した。午後2時半ごろから売りが優勢になって153円37銭まで上げ幅を縮小。結局は17銭高の153円48銭で終了した。

  日銀が実施した今月3回目となる長期国債の買い入れオペの結果によると、残存期間5年超10年以下の応札倍率が1.71倍と2013年5月24日以来の低水準となった。3年超5年以下も1.83倍と前回のオペから低下した。一方、1年超3年以下と物価連動債は上昇した。

超長期ゾーンのオペに注目

  SMBC日興証券の竹山聡一金利ストラテジストは、「リスクオフでグローバルにフラットニングの流れがある中で、残存期間5年超10年以下のオペの結果が強かったことを受けて買いが加速した」と指摘。「目先は日銀サイドがこのフラットニングをどう見ているかが注目される。月内での超長期債の買い入れ額を減らす動きがあるかどうかだ」と話した。

  日銀は7月に入って国債買い入れオペ1回の金額を、残存期間5年超10年以下が4300億円、10年超25年以下は2000億円、25年超を1200億円と、いずれも前回のオペから200億円ずつ減額している。

  BNPパリバ証券の藤木智久チーフ債券ストラテジストは、「20年債利回りのゼロ%は遅かれ早かれと予想されていた。問題はここからゼロ%を割れてマイナス圏に買い進む主体が出てくるかと、日銀がそれを是とするかだ。日銀は超長期債の利回りをマイナス化することに特段のメリットを感じていないのではないか。金融機関の経営の安定性も含め、プラス効果が大きいとは考えにくい」と言う。

  また、みずほ証券の辻宏樹マーケットアナリストは、「20年債利回りがゼロ%を割り込んだが、さすがにこの水準が持続可能かは怪しい。今週末にかけて超長期ゾーンのオペが入る可能性はあるが、さすがに30年債入札までには調整が入るのではないか。今週はゼロ%近辺で推移するのではないか」との見方を示した。

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