ブラックスワンとゲーム理論が道しるべ、英離脱後の債券売買 (訂正)

訂正済み
  • 政治リスクの見極めは投資家にとって一段と重要に
  • 米大統領選挙や先進国の選挙の影響も市場に波及する恐れ

債券投資家は運用モデルで経済成長やインフレといった要素を考慮することには慣れているものの、政治に関する経験は乏しい。このところ極めて重要になっているのはこの政治リスクだ。

  英国民投票で欧州連合(EU)離脱が選択された衝撃の直接的影響は和らぎ始めた。しかし、投資家やストラテジスト、トレーダーの話から1つ明らかになったことがある。政治の分野の事象を正確に評価する方法を見いだすことが、かつてないほど重要になっている点だ。

  英国のEU離脱選択を受けて世界の債券利回りが過去最低を付けたことから、債券ストラテジストらは従来の予想を撤回せざるを得ない状況にある。債券や株式、通貨、商品の将来の価格変動をめぐる指標は急上昇した。可能性は低いが実際に起きた際に衝撃が大きい「ブラックスワン」と称される事象の発生確率も過去最高に達したことが、オプション取引の価格に反映されている。

  ウィリアム・ブレアのダイナミック・アロケーション戦略の責任者、ブライアン・シンガー氏は「現在の地政学的環境では、単なるファンダメンタル分析以上のことが絶対に必要だ」と指摘。「英国のEU離脱に伴い、地政学的環境は驚くほど複雑な問題となった」と付け加えた。

政治リスクとなった英国民投票

Photographer: Matthew Lloyd/Bloomberg

  1990年代初めの駆け出しのころとは異なり、シンガー氏は現在、投資決定に政治リスクを組み込めるようゲーム理論を頻繁に頼りにしている。同氏のチームはまた、地政学的トレンドの変化を見極める能力を備えた軍隊経験者でもあるエコノミストを最近採用したという。

高まるリスク

  英国のEU離脱選択の結果、他のEU諸国が追随する可能性が増した。英国では「離脱」陣営リーダーが国民投票後の明確な戦略を打ち出しておらず、不確実な状況が長期化する懸念が深まっている。BNPパリバの指数に示されたように、ユーロ圏の政治リスクは少なくとも2011年以来の高水準にある。さらに、米大統領選をはじめ向こう1年半に先進国で行われる複数の重要な選挙によって政治が混乱すれば、市場に波及する恐れもある。

  コロンビア・スレッドニードル・インベストメンツのマネーマネジャー、ジーン・タヌッツォ氏は、「政治が間違いなくハンドルを握っている。ナショナリズムの動きが世界的に大きな威力を持っている」と指摘した。

  債券利回りは前例のない低水準を付けているものの、一連のリスクは安全資産の需要拡大に拍車を掛けている。世界全体でマイナス利回りの国債は約10兆ドル(約1020兆円)に上る。10年物米国債利回りは1日、過去最低の1.378%を付けた。ブルームバーグ・グローバル先進国ソブリン債指数に採用された証券の平均利回りは4日に過去最低の0.428%を付けた。

  こうした利回りの動きにウォール街のアナリストは予想の修正を余儀なくされている。ブルームバーグの集計データによると、1月時点で2.75%とされていた米10年債利回りの年末予想中央値は2.1%に低下した。4日は米独立記念日の祝日で米国市場は休場だった。

  同様のことが欧州のベンチマークにも当てはまる。ドイツ10年国債利回りの年末予想中央値は16年初めの1%から0.3%に低下した。現在の予想レンジ上限は0.8%。

原題:Black Swans and Game Theory: Post-Brexit Trading Guide (Correct)(抜粋)

(原文と原題を差し替え、6段落目を2011年以降に訂正します.)
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