喉から手が出るデリバティブ決済、EUが英から奪いたい理由-Q&A

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英国の欧州連合(EU)離脱を支持する国民投票の結果が出て、1日たつかたたないかというタイミングで、ロンドンの金融業界の重要な機能に対する権利を他のEU諸国の当局者が主張し始めた。ユーロ建て取引のクリアリング(清算・決済)拠点をどこに置くかという問題が、英国のEU離脱交渉の火種の一つに浮上している。フランスとドイツの政治家らはクリアリング業務をロンドンから別の場所に移すことができるとの立場で一致し、パリかフランクフルトが新たな拠点になる可能性に言及した。

ロンドンにとってなぜクリアリング業務が重要か?

  国際決済銀行(BIS)の2013年からのデータによれば、代表的なデリバティブ(金融派生商品)であるユーロ建ての金利スワップ取引の約70%が英国で行われており、フランスは11%、ドイツは7%にとどまっている。

  ロンドンのクリアリングハウス(清算・決済機関)は通常1日当たり9000億ドル(約92兆円)相当を上回る取引を処理しており、約1000人の雇用を生み出すだけでなく、デリバティブ取引や担保管理のためにロンドンで働くおびただしい法律専門家の収入を支えている。金利スワップ決済で世界最大のクリアリングハウス、LCHはロンドンに拠点を置き、ロンドン証券取引所グループ(LSE)が過半数の株式を保有している。

ユーロ建て取引の清算・決済はユーロ圏で行われるべきか?
  
  英国のEU離脱が国民投票で支持される以前の段階で、欧州中央銀行(ECB)はユーロ建て取引の清算・決済をロンドンではなくユーロ圏内で行うことを目指してきたが、英国はこれに反発してECBを提訴。EU司法裁判所は、ECBの主張を退ける判決を下し、欧州の金融の中心地としてロンドンの地位が強化される結果となった。

これから何が起きるか?

  英国のEU離脱に向けた交渉は何年もかかる可能性があり、クリアリングの拠点が近い将来にロンドンから他の場所に移転する可能性は低い。それだけではない。EU司法裁判所は、ECBには証券取引のクリアリングに関する監督権限がないという判断を示しており、その権限を得るためには、EU当局による法制化が必要になることも予想される。

原題:QuickTake Q&A: Brexit Puts Financial Clearing Work Up for Grabs(抜粋)

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