大阪取引所社長:ドル建て日経平均2年内上場へ、HFT要透明化

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日本取引所グループ傘下の大阪取引所は海外投資家の利便性を高めるため、外貨建ての株価指数を2年以内に開発、上場させる方針だ。既存の株価指数についても国内外の投資家層を拡充させることで、デリバティブ取引量全体の底上げを目指す。

  大阪取引所の山道裕己社長がこのほど、ブルームバーグ・ニュースのインタビューで明らかにした。同取引所で現在売買できる株価指数先物は円建てしかなく、今後は日経平均先物や米ダウ工業株30種平均先物のドル、ユーロなど外貨建て商品の取り扱いを検討するほか、権利行使価格(エクササイズプライス)を自由に設定できるフレックス・オプションも導入したい構え。

  19日から次期デリバティブ売買システム「J-GATE」が稼働、これに伴い取り扱い商品数は23から27へ増えるが、米シカゴ先物市場(CME)やシンガポール証券取引所(SGX)など海外との比較でなお見劣りしており、商品数の拡充を進める方針。同時に、既存商品の売買についても投資家層の拡大を狙い、自己売買を行う海外アーケードなどへの働き掛けや証券会社の自己売買部門などの活性策に取り組む。

山道裕己社長(2014年)

Photographer: Akio Kon/Bloomberg

  山道社長は、2018年度までの第2次中期経営計画の達成に向け、「外貨建ての商品の上場、フレックス・オプションなど今はまだ取り扱っていない先物・オプションを考えていきたい」と発言。外貨建て商品の上場には決済のための銀行も必要になるとし、上場時期は清算システムがリプレース予定の「18年1ー3月前後に合わせて入ってくれば良いと思っている」と言う。

「打率4割は高過ぎ」と社長、一部商品への高依存を修正

  大阪取引所では、日経225miniや日経225先物、TOPIX先物、長期国債先物、JPX日経400先物など1日平均売買が1000を超す商品の比率が23のうち10を占める。「打率で言うと大阪取引所は4割、CMEは15%。大阪の比率は高過ぎる。デリバティブは上場後の維持コストがかからないため、待ち伏せ的な商品を増やしても良い」と山道社長は述べた。

  また、既存商品では大阪取引所の日経225先物のシェアが7割を超えており、CMEやSGXなどに比べシェアが大きくなり過ぎると、逆に取引所間をまたぐ売買に良くない影響を与えるとも指摘。「まだつながっていない投資家は世界にたくさんいる。パイを大きくする中で今の70%前後を保つという言い方になる」とし、短期的なシェア拡大より、国内外の新たな投資家層の開拓を通じた取引量全体の増加を優先させる考えを示した。

  次期J-GATEでは、ナイト・セッションの午前5時30分までの取引時間延長や指数先物取引の日中立会開始時間の午前8時45分への前倒しなどが実施され、注文の訂正・取り消しを受け付けない時間帯「ノンキャンセル・ピリオド」も導入する。さらに、東証マザーズ指数先物や台湾加権指数先物、JPX日経インデックス400オプションなど新商品の売買も始まる。

  山道社長は、「市場の安定性や信頼性、公正・公平なマーケットを保つというのが市場を運営する者の一番のミッション。それが大きく変わる」と説明。ナイト・セッションの延長で、米国の金融政策を決める連邦公開市場委員会(FOMC)の結果判明の時間帯をカバーできるようになり、日中立会の開始前倒しでは日本銀行の企業短期経済観測調査(短観)など国内重要統計への即座の対応が可能になる、とした。

  また同社長は、マザーズ先物について「今まで日本を代表してきた指標と相関関係が極めて低い。日本のエマージングカンパニーズの代表指標としての面白さ」に言及。14年11月に取引が始まったJPX日経400先物の1日当たり売買は2万5000ー3万枚に膨らむことがあり、成功した部類だとした上で、「マザーズ指数先物も少なくともJPX日経400先物くらいにはなって欲しい」と期待感を示した。

  一方、金融庁が4月、取引の高速化が市場に及ぼす影響などを幅広い観点から議論、対策を講じることが必要との見解を示し、金融審議会で5月から議論が始まった。山道社長は、高頻度取引(HFT)業者について「われわれからみたら、1つの形態の投資家。彼らの取引実態が鮮明に分かっているかというと、そうでもない。分かっていない部分もある」と指摘。HFTを一定程度捕捉する枠組みは市場の透明性向上に必要で、「世界の規制と平仄(ひょうそく)を合わせる形で登録制なのか、届け出制なのかというのも一つあるだろう」と話した。

  JPXが1日に発表したことし上半期(1ー6月)の売買状況によると、デリバティブ合計取引高は前年同期比14%増の1億9014万単位と、同期としては13年(2億1821万単位)に次ぐ過去2番目の活況だった。デリバティブ合計取引代金は7.2%減の1232兆円となったものの、うち株価指数関連等の取引代金は0.4%増の637兆円と、上半期での過去最高を記録した。

(ことし上半期のデリバティブ市場動向を文末に追記します.)
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