【今週の債券】長期金利マイナス0.3%に低下も、資金潤沢や緩和観測で

  • 長期金利の予想レンジはマイナス0.30%~マイナス0.15%
  • 7-9月期入りで運用資金もあり債券を買う動き-三井住友アセット

今週の債券市場で長期金利は低下基調が続くと予想されている。新四半期入りで投資家からの需要が見込まれることに加えて、根強い日本銀行による追加緩和観測が金利低下圧力になりやすいことが背景にある。

  長期金利の指標となる新発10年物国債利回りについて、ブルームバーグが前週末に市場参加者4人から聞いた今週の予想レンジは、全体でマイナス0.30%~マイナス0.15%となった。前週はマイナス0.26%まで低下し、過去最低水準を更新した。日銀が28、29日に開く金融政策決定会合で追加緩和を決めるとの観測や、需給環境の良好さから買いが優勢となった。新発2年物から40年物までの国債利回りも軒並み最低水準を記録した。

  三井住友アセットマネジメントの深代潤債券運用グループ理事兼副ヘッドは、今週の債券相場について、「週前半は需給的に強い状況が続く見込み。7-9月期入りで運用資金もあり、債券を買う動きになりやすい」と話した。

  米国市場では6日に米連邦公開市場委員会(FOMC、6月14~15日開催)の議事録が公表される。8日には6月の雇用統計が発表される。SMBC日興証券の森田長太郎チーフ金利ストラテジストは、「今週は米国市場の材料を中心に見ることになるが、ここで米金利の反転上昇が短期的に起こらない場合には、先週末のような日本国債市場の極めて強い動きが、ある程度そのまま継続される可能性が高そうだ」と指摘する。

10年債入札

  財務省が今週実施する国債入札は10年債と流動性供給の2本。5日に行われる10年債入札は発行額が2兆4000億円程度。343回債のリオープン発行となり、表面利率は最低水準の0.1%に据え置かれる見込み。7日の流動性供給入札は発行額が2000億円程度で、残存1年超から5年以下の既発国債が対象銘柄となる。

  10年債入札について、メリルリンチ日本証券の大崎秀一チーフ金利ストラテジストは、「日銀トレードを意識した動きが中心となるが、それでもこの低金利下でどの程度需要があるのか注目される」と指摘した。前回の入札では小さいと好調さを示すテール(最低と平均落札価格の差)が2銭と昨年12月以来の低水準となった。「今回は多少拡大する可能性もあるだろう 」と、大崎氏はみている。

予想レンジと相場見通し

  市場参加者の今週の先物中心限月、新発10年物国債利回りの予想レンジと債券相場見通しのコメントは以下の通り。

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◎メリルリンチ日本証券の大崎秀一チーフ金利ストラテジスト
先物9月物=152円25銭-153円70銭
10年物国債利回り=マイナス0.30%~マイナス0.15%
  「イングランド銀行の追加緩和観測や欧州中央銀行(ECB)の債券購入ルールの緩和など、環境面ではグローバルに債券買いの基調が続きやすい。新発10年債利回りがマイナス0.30%に下がるようであれば、20年債利回りがゼロ%になる可能性も十分あるだろう。足元の動きでは海外金利の低下も寄与していることから、今後は週末の米雇用統計を受けた海外金利の動向も鍵になっていきそうだ」

◎三井住友アセットマネジメントの深代潤債券運用グループ理事兼副ヘッド
先物9月物=152円90銭-153円80銭
新発10年物国債利回り=マイナス0.30%~マイナス0.22%
  「物価や景気の足踏み状態から、低金利でも債券を買う需給が強い環境となっている。英国の欧州連合(EU)離脱で景気の先行き不透明感もある。もっとも、週末に米雇用統計発表もあり、どんどん金利が低下するという感じでもない。米雇用統計は前回悪かったのである程度戻るという見方から、発表前にポジションを落とす感じではないか。一方で、10年債入札は、金利が低下し過ぎると需要が減るとの警戒感が出てくる」

◎大和証券の山本徹チーフストラテジスト
先物9月物=153円00銭-153円75銭
新発10年物国債利回り=マイナス0.30%~マイナス0.225%
  「英国のEU離脱決定の金利へのインプリケーションは、短期的な観点では、市場がリスクオフに傾けば、質への逃避での金利低下、あるいは政策対応期待(緩和強化)での金利低下となり、どちらにしても金利が低下する方向となる。一方、長期的には、長期停滞論あるいはニューノーマルに収束することをリマインドするイベントだったと言える。これも、やはり金利低下の方向といえる」

◎岡三証券の鈴木誠債券シニアストラテジスト
先物9月物=152円80銭-153円50銭
新発10年物国債利回り=マイナス0.28%~マイナス0.20%
  「引き続き利回りの低下余地を探る展開になる。相場はじり高か。日銀の決定会合に向けて、追加緩和への期待感が相場を支える。今回はマイナス金利の小幅な拡大などがあっても不思議ではない。仮に見送りでも、期待は残るので相場への悪影響はないだろう。もっとも、米雇用統計を週末に控えているので、積極的に動く向きはいないのではないか。10日の参院選が終われば、景気対策に関する議論が本格化してくる。財政出動の規模が注目点となるだろう」
*T

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