長期金利が上昇、明日の10年入札への警戒感で売り-金利先安観根強い

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  • 先物は一時5銭安の153円27銭、朝方153円53銭まで上昇し日中最高値
  • 入札控えていることや先週末の相場上昇に行き過ぎ感あった-野村証

債券市場では長期金利が上昇した。英国の欧州連合(EU)離脱決定をきっかけとした世界景気の不透明感を背景に買いが先行し、新発2年物、5年物、20年物の国債利回りは過去最低水準を更新した。その後は金利水準の低い状況で行われる翌日の10年債入札に対する警戒感が強まり、売りが優勢になった。

  4日の現物債市場で長期金利の指標となる新発10年物国債の343回債利回りは、日本相互証券が公表した前週末午後3時時点の参照値マイナス0.26%と、過去最低水準に並んで取引開始。いったん0.5ベーシスポイント(bp)高いマイナス0.255%を付けた後、マイナス0.26%に戻した。午後に入るとマイナス0.25%まで上昇している。新発2年物の366回債利回りがマイナス0.34%、新発5年物の128回債利回りがマイナス0.375%、新発20年物の157回債利回りが0.035%といずれも過去最低を更新したが、その後は水準をやや切り上げている。

  野村証券の中島武信クオンツ・アナリストは、「相場が小安くなっているのは、明日に10年債入札があることと、先週末の相場上昇に行き過ぎ感があったため。日銀の買い入れオペ減額なので下げるはずなのに、商いが薄い中で、気配だけで上昇した分の調整」と話した。

  長期国債先物市場で中心限月の9月物は、前週末比15銭高の153円47銭で取引を開始。直後に153円53銭まで上伸し、日中取引ベースでの最高値を更新した。その後は上値が重くなり、午後の取引は水準を切り下げ、一時は5銭安の153円27銭まで下落した。結局2銭高の153円34銭で取引を終えた。

  日本銀行がこの日に実施した今月2回目となる長期国債の買い入れオペ実施の結果によると、残存期間「1年以下」と「10年超25年以下」の応札倍率が前回から上昇した。一方、「25年超」は低下した。

  財務省は5日に10年債入札を実施する。発行額は2兆4000億円程度。343回債のリオープン発行となり、表面利率は最低水準の0.1%に据え置かれる見込み。

  10年債入札について、野村証の中島氏は、「日銀オペのスケジュールを考えるとやりにくい。入札翌日に5年超10年以下のオペが入ると思うが、次は13日か。10年債を買っても、それまで外しにくい状況」と話した。

  バークレイズ証券の押久保直也債券ストラテジストは、「グローバルに成長期待の鈍化で金利が低下している」とし、日銀の7月追加緩和は避けられないとの見方があり、先物主導で強含んでいると指摘。「イールドカーブ上で最も強いのは7年ゾーンだが、5年債は利下げ期待と先物の強さに引っ張られている」と言い、「長期金利は過去最低更新が続くが、今月末にかけて一段と低下していく可能性があり、大きく上昇するイメージは持ちづらい」と話した。

世界景気に楽観シナリオ描けず

  1日の米国債相場は上昇。英国のEU離脱決定で世界的に経済成長が抑制され、年内の利上げ期待が後退し、10年債利回りは一時2012年7月25日に付けたこれまでの過去最低水準の1.379%を下回った。その後は1.44%に戻した。英EU離脱が英国や欧州全般の経済を押し下げるとの観測が出ており、イングランド銀行(英中銀)のカーニー総裁は先日、夏場の金融緩和を示唆。米国の利上げも緩やかなペースにとどまるとの見方が出ている。

  SMBCフレンド証券の岩下真理チーフマーケットエコノミストはリポートで、不透明感が漂う間は世界経済の下振れリスクが強く意識され、楽観的なシナリオを描けなくなると指摘。極端な悲観は一服も債券買いの流れは簡単には止まらないとしている。

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