GPIFは4-6月期も約4.4兆円の評価損か-モルガンMUFG

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年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は2015年度の運用で5兆円規模の評価損を被ったのに続き、今年度4-6月期も約4.4兆円を失ったもようだと、モルガン・スタンレーMUFG証券が試算した。

  同証券の株式統括本部でエグゼクティブ・ディレクターを務める岩尾洋平氏は1日付のリポートで、GPIFが運用する厚生年金と国民年金の積立金は6月末に132.7兆円に減少したと推計。円高・株安・金利低下を背景に、国内債券は全体の42.6%、日本株は21.7%、外国債券は13.7%、外国株式は22%になったと分析した。

  市場関係者はGPIFが昨年度に5.5兆円前後の評価損を被ったと分析。共同通信は1日、GPIFが15年度決算で5兆数千億円の運用損失を計上すると報じた。4-6月期は前期に続き、国内外で市場の混乱と投資家のリスク回避が広がった。世界経済の減速懸念と米利上げ観測の後退、ドル高と人民元安などに、英国民投票での欧州連合(EU)離脱派の勝利が追い打ちを掛けた。

  SMBC日興証券の末沢豪謙金融財政アナリストは、4-6月期の評価損を3.5兆-4兆円程度と試算。円高・株安・金利低下を受け、国内債のみ評価額が上がり、内外株式と外債は下がったとみる。「今さら国内債に戻るわけにはいかない。リスク資産の値下がり局面で長期的な視点から押し目買いを入れ、資産を徐々に増やしていく方針を続けるべきだ」と言う。

  デフレ脱却を掲げる安倍晋三政権は、GPIFに将来の金利上昇で評価損の恐れがある国内債券への偏重見直しやリスク資産拡大による収益向上を要望。GPIFは14年10月末に資産構成を抜本的に見直し、国内債の目標値を60%から35%に下げ、内外株式は12%ずつから25%ずつに、外国債券は11%から15%へ引き上げた。

  GPIFは昨年末時点で運用資産139.8兆円を抱え、公的年金制度が持続可能となるよう、名目賃金上昇率を1.7ポイント上回る運用利回りを長期的に確保する責務を負う。資産構成の見直しで目標利回り達成の可能性が高まった半面、価格変動を示す標準偏差は全体で12.8%と、全額を国内債で運用する場合の3倍弱に上昇した。

  ドル・円相場は先月24日、1ドル=99円02銭と13年11月以来の円高値を付けた。30日終値は103円20銭。3月末は112円57銭だった。TOPIXは1245.82と7.5%下落。MSCIコクサイは円換算で8%下げた。米国の10年物国債利回りは1.47%と30ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低下。日本の新発10年物国債利回りはマイナス0.23%と18bp下げた。

  GPIFは5月末に公表した基本ポートフォリオの定期検証結果で、変更の必要はないと結論付けた。16年度計画では、四半期ごとの運用実績の発表日を初めて事前に公表。1-3月期と昨年度分は参院選後の7月29日とした。他の四半期報告は各期末から約2カ月後。通年の業務概況書は情報開示の充実度が格段に高いが、08年以降で最も遅かったのは昨年の7月10日。今年は例年より3週間前後も遅い。

(第7、8段落に情報を追加して更新します.)
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